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幻滅デイリー
雛祭り非戦闘体制
「雛祭りの時期にね、京王線の通路で雛人形が飾られてたんだよ」
「へえ……」
ぼくは、大して興味が無かった。
「雛人形って、早くしまわなきゃお嫁に行き遅れるんだって」
「そうなんだ。で、君の家では出したの?」
確か、ぼくの住んでいる地域では早く出してしまわなければならないと聞いた事がある。
「あはは、それが出していないんだよねえ。ここのところ毎年、箱に乾燥剤を入れているだけなんだよ。本当に、ダメだよねえ」
「毎年、雛人形は出してやらないと怒るんだってさ。人形って、魂が宿るとかよく聞くしな。それに、三月三日の晩には雛人形達で宴を催すらしいぜ」
さらり、と言ってみた。まあ、全てが誰かの受け売りだったりするが。
「でも、雛祭りに雛人形を出さないっていうのは嫁ぐという女の戦を即行で脱落している様なものよね。もしくは、日本国憲法第九条みたいな」
「あ、そう」
ぼくには、やはり興味の無い事だった。

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