幻滅デイリー 愛と金は相反するか 実に驚いた。実弟が、「金で、出来ない事は無い」と言った事が。 「愛すら、金で買う事が出来る」 「しかし、相手は己で無く金を愛する事だろうねえ」 ぼくは禁煙を破り、実弟に紫煙を吐きかける。すると、彼は目を怒らせながら椅子に座った。 「それでも、金がある限り女は離れないさ」 「言うねえ」 灰を落としながら、ぼくは彼を見る。金の無い兄弟がこんな事を言っているなんて、面白いと思った。 「でもさ、金が無きゃ始まらない事だねえ」 「茶化すな」 「怒ってばかりだと、幸せも逃げるよ」 話には付き合うが、答えをやるつもりは無い。 「幸せが逃げるのは、溜め息だろ」 「あっは、そうだったそうだった」 しかし、金だけで知識を得る事は出来ない。それに、病を治す事も。金があれば何でも出来るというが、それは伴う相応の価値があるという条件下だからだろう。 「なら、お前は逆玉の輿をどう思う?」 だが、相手は最悪の女だったとして。 ※ 例えば、ウン億でその身を買いたいという奴がいたら。彼は一体、どうするのだろうか。素直に売ってしまうか、それともプライドが邪魔をするだろうか。 その身は売っても、心はなかなか売れないものさ。 [戻][進] |