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幻滅デイリー
段ボール・チルドレン
 放り投げられた感覚。二、三回転がってから漸く止まる動き。それにしても狭い、体が限り無く小さく折り畳まれて詰め込まれているらしい。しかし、湖に投げ込まれなくて良かったと思う。落下した衝撃、隙間から入る臭い水を想像して背筋が凍った。

 コインロッカー・ベイビーズなんてのがあったなァ、と思った。どうでも良いけど、自我が芽生えてから棄てられるのは堪ったものじゃない。しかも、段ボール詰めかよと親のセンスに呆れてしまう。コインロッカーの方が、未だイカしていると思った。しかも、生後間も無い分だけ。

 産みたくて産んだんじゃ無いと母親が主張するなら、産まれたくて産まれたんじゃ無いという子供の主張も聞いてくれ。生きていたって、良い事があるかどうかも解らない。産まれてから、アル中の母親のサンドバッグにしか使われなかった俺は一体何だった。産まれてから、ヤク中の父親の慰み物にしか使われなかった妹は一体何なんだ。

 俺や彼女が生きている意味なんて、きっと誰も教えてくれない。人の道を説く、あのいい加減な大人は一体何の為にそんな下らない事をしているんだ。このまま、段ボールに入っていれば楽になれるだろうか。いや、なれないだろう未だ。

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あきゅろす。
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