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幻滅デイリー
ペア買いの男
 男は思った。全部、聞こえてんだよな実は。



「有難う御座いました」
アルバイターは高校生らしく、元気良く俺の姿を送っていた。ひょい、と愛用チャリに跨がって帰路に着く。



「ほらほら、例の人。何かね、何でも二つ買っていくのよ。この間はケーキだったし、もっと前はプリン。最近は、専らアイスだけど」
「二つって事は、やっぱり相手がいるのよね。絶対、何か同棲とかしてそうだもん」
俺は全く気にしない素振りで、アイスを物色していた。何しろ、茹だる様に暑い。アイスでも食べなけりゃ、やっていられない。よし、今日はかき氷にでもするか。
「はァ、自分の為に何か一緒に買ってきてくれる優しさがある彼氏が欲しい」
「そうね」
女というのは、時々鋭いと思うのは俺だけだろうか。姿形だけで、同棲を難無く当てるとはと驚愕する。俺はレジに、イチゴが描かれたかき氷を二つ置いた。
「スプーン、お付けしますね」
ダベるものの、テキパキと仕事はこなすタイプらしい。かき氷とスプーンの入った袋を、二百十円と交換してコンビニを出る。



 しかし、惜しいよな。彼女と同棲していようとも、この二つのかき氷は俺の口に入るのだから。

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