Morning Coffee
−3−
まだ冴えない頭でリビングに行くとコーヒーのいい香りがする。
「おはようございます」
「おはよう」
あくびを噛み殺しながら、挨拶もそこそこにソファーに座る。
「どうぞ」
目の前にコーヒーカップを差し出される。
それを受け取り口にする。
「っつ」
「‥‥あなたって人は‥‥‥。大丈夫ですか?」
‥‥なんというか、学習能力がないというか。
そう毎回ではないが頻繁にやってしまう虎徹には呆れてしまう。
猫舌の自覚があるくせにやってしまうのだ。
はじめは焦ったり驚いたり大声を出したりしていたが、今は心配はするもののそこまではしなくなった。
「水、持ってきましょうか」
「大丈夫。ちと熱かっただけだから」
「気をつけてくださいよ。この前はしばらく火傷したまんまだったんですから」
「わぁーてるって。最近、小姑みたいだぞおまえ」
「こっ‥小姑って。なんなんですか。それ」
いうに事欠いて小姑だなんて、
「だって煩いんだもん」
今度はふうふうしながら飲んでいる。
言い返そうとしたが、セリフはともかくその口を尖らせながら言う仕草とそれに連動してコーヒーを冷ましてる格好がバーナビーのツボを直撃してしまった。
‥‥‥この人はっ‥‥‥
時折、これはわざとやっているんではないかと思うときがある。
そんな小細工できるような器用な人間でないのはわかっているんだが、こういうのがあるから困ってしまう。
だからため息をつく。
「どした?」
そんなバーナビーを知らない虎徹は呑気に聞いてくる。
「いえ。あなたの凄さにあらためて感じて」
「‥‥俺が?‥‥‥凄い?」
「ええ。‥‥‥ある意味ホントに‥‥」
「なんだぁ。今頃気づいたのかよぉ」
照れ臭そうに頭をポリポリとかきながらの虎徹。
「バニーにわかってもらえて俺は嬉しいぜ」
なんだか勘違いをされてる。けど、にこにこ顔の虎徹に違うとも言いづらい。
違うと訂正すれば、説明しなければならなくなる。
とりあえず、ここは思わせといてあとでなんとかすればいいだろう。
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