初めまして、山吹中 桜が舞う、4月。 今日は、夢にまで見た私立山吹中学の入学式。 私は新入生の列のなか、元々小柄である体を縮こまらせて埋まるように立っている。 今朝まで地方にいたのが嘘みたいだ。 大きく聳え立つビル群には正直びっくりした……。 制服は同じなのに、私だけ田舎臭いんじゃないか不安だった。 私のクラスは1年1組。 周りは知らない人ばかり。 目の前に見える上級生の列のなか、昔の従兄の面影を探すが一向に見つからない。 最後に会ったのは五年前、それまで音信不通にも等しいのでわからなくても仕方ない。 不意に一際目立つオレンジ色の髪が目に入る。 「・・・!!」 視線が絡まりウィンクをしてきた。 周りの女の子達は色めき立って黄色い声を上げた。 私は、その声にビクッと縮こまると、すぐに人込みで見えなくなった。 教室で、学校生活についての簡単な説明を受けた後、偶々席が隣だった男の子と仲良くなった。 名前は壇太一君。 私より少し大きいが、クラスの中ではダントツで小さいほうだ。 * 入学式が終わって、私は従兄を探すが何処にもいない。 ………キノコみたいな頭だったよね、確か。 すると、目の前には入学式でウインクをかましたオレンジの先輩。 私は急いで走り寄り、その先輩の制服を掴む。 「ぁのっ、すみません!!」 声が裏返る。 オレンジが振り替える。 「あれ〜、君さっきの新入生ちゃん? まさか声かけてもらえるなんてラッキーだなぁ♪ あ、俺千石清純。せいじゅんって書いてキヨスミね。てか君ちっちゃくてかわいーよね、何センチ?いや…女の子にそれ聞くのは失礼か。大丈夫!俺小さい子のが好きだし〜。まぁ、もう少し出るトコ出てる方が好きだけど、それはこれから育てれば……」 あまりのテンションの高さとマシンガントークに、一瞬頭が真っ白になるが直ぐに我に帰り、 「目付きの悪いキノコ知りませんか・・・!?」 私の発言にオレンジ先輩マシンガントークも止まり、辺りがシーンと静まり帰った。 嫌な沈黙が続く。 「あのさ、それって……氷帝の日吉君じゃなくて?」 先に口を開いたのはオレンジさんだった。 「…………ヒヨシ?」 「……え〜っと、せめて名前はわからないのかな?」 明らかに困惑した様子の千石さんに、罪悪感を感じながら必死に記憶を手繰る。 「確か苗字は、亜久津……名前は仁です。」 すると、 「・・・・・・亜久津ぅ!?」 「はいι」 驚いた声。 驚かれる理由がわからず、キョトンと見返せば、苦笑気味の千石さん。 「ね、君さ、一つ聞いていい?」 「はい?」 「亜久津との関係は………?」 「従兄ですけど。」 「・・・・・・(血の繋がりが一滴たりとも伺えないι)」 何やらフリーズしてしまった千石さんに戸惑っていると、 「オイ……。」 ドスの効いた低い声に、思わず振り向けば、逆立った銀髪?に腕まくりされてモロに出ているやたら逞しい腕。 口には煙草。 ………所謂ヤンキーと言う生物が私の目の前に立ちふさがっておりました。 [次へ#] |