重ね過ぎた夜(桑田真澄) 「ううッく」 身体を走り抜ける快感。 ビクンッ、と反応して妻が目を覚ます。 「んあ、やッ?? 半…助さん??」 「また、したくなってしまって…」 すまなそうな顔。すごい汗。 「んんッ、ずっとしてなかったですもんね…」 「明日…どぶ掃除できないな…」 「ええ?? そ、そんなの困ります…」 「一緒に謝ってあげるから…」 何度身体を重ねても、こみ上げる愛しさ。互いに求め合う。どぶ掃除をする気がないのはどうやら本当みたい。 冷たく過ぎる夜もあれば、こんなに熱く、たぎるような夜もある。 同じ夜なのに…。 今度はあたしの愛しさを、ちゃんと肌で感じてくださいね。これからはもっともっと、わがままを通していくつもりなんだから。 End. 翌日。 どぶ掃除に参加できない理由を、体調不良と偽り、お隣へ回覧板をまわす。 「あらあらどぶ掃除出れないの??」 「いや…あはは。すみません。体調不良で…」 ゲホゲホ、と嘘くさいせき。お小言をもらうだろうか。 首筋、胸板、いたる所に赤い跡。おばさんの視線がそれをたどる。 「体調不良ねぇ…昨日はご近所一帯に丸聞こえでしたよ」 くすくすと笑う隣のおばさんに平謝りをし、我が家へ逃げ帰る。 ひと晩中私の想いを受け止め続け、ぐったりとした名前を入れてね。私が学園に戻った後、相当おばさん方にからかわれるだろう。そんな事を想像して、少し笑った。 お昼には学園に戻らなければ。君の枕の下に、あの写真を滑り込ます。夢の中でも寂しくないように。愛を込めて…。 2007年07月17日完成☆ [前へ] |