小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説) 第11話 『さて、あのバカを殴るために・・・・・・戦争開始ね』 恭文、やっぱ成長してるんやなぁ。あのなのはちゃんをあっさり篭絡してもうたし。 それだけやのうて、ヴィヴィオという『意味』を得たなのはちゃんはエンジンかかってうちらに協力的になった。 正直これで依存状態が解消されてるかどうかは微妙やけど・・・・・・それでもよしとしよう。 とにかくうちらのトリックの布石のひとつは、ヴィヴィオが未だに六課隊舎に居る事。 もし今後の話の流れでそれは無理になっても、最悪その手がかりがここにあるものだと思わせていく事。 うん、コレがマジやったら最悪やな。そやけど、だからこそ打てる布石がもう一つある。 場所は六課の会議室。なのはちゃんとうちと『ヴィヴィオ』は、無事に聖王教会から戻ってきた。 その直後に隊長陣全員とグリフィス君を集めて、まずはヴィヴィオの存在に関しての仮定を説明。 「・・・・・・まずなのはちゃん」 「・・・・・・なにかな」 お願いやからそんな睨み気味に視線を向けんでよ。てーかそれが芝居だって分かってても怖いし。 でもなのはちゃんがこういう芝居に乗るって・・・・・・お母さんって、めっちゃ強いんやなぁ。 「はっきり言うけど、これからヴィヴィオには囮としてここに居てもらう」 うちがそう言うと、なのはちゃんもそうやし他のみんなも驚いた顔になった。 「はぁっ!? はやてちゃん、それどういう事かなっ! 私ワケが分からないよっ!!」 「そんなん簡単や。これはあくまでも可能性の話やけど・・・・・・連中はヴィヴィオを狙ってここを襲撃するかも知れん」 「襲撃って・・・・・・ありえない、ありえないよはやてちゃん。だって六課隊舎は」 「異常やなぁ。だって六課隊舎は警察機構の施設なわけやし。 でもうちが思うに、地上本部襲撃するよりはずっと楽やと思うんよ」 さすがのなのはちゃんもそこが分からんわけやないらしい・・・・・・という風を装う。 一発で真剣な顔に戻って頷いてくれた。他のみんなもそこは大丈夫みたいや。 「なにより警察機構の施設攻撃は、意外とウィークポイントよ? その立ち位置からどれもこれも襲撃される事を想定とした作りとちゃう」 隊舎ちゅうんは一種のお飾り・・・・・・権威の象徴でもあるんよ。 そやから堂々と鎮座してる事が重要や。こそこそと分かりにくい場所にあるんじゃ意味がない。 そういう意味では縄張りを示す城って考え方が合ってるんかも知れんな。 守りすら捨てる事が権威を強くする事にも繋がるわけや。 正しい事をするからこそ、堂々とせんとアカンっちゅう事やな。 「そこにもしもはやてちゃんがさっき言ったみたいな話になるなら、襲撃の可能性はかなり高いという事かな」 「あ、そこは納得してくれるんやな」 「まぁその、パトレイバーとか逮捕しちゃうぞの劇場版とか見てたしね。言いたい事は分かるよ。 というか、もしかしてヴィヴィオを隠そうとしたのはそういうのもあったから?」 「うん。なのにアンタがめっちゃゴネるからもうそれはダメになったわ。 てゆうかうちがそこ言う前に喚き立てるし・・・・・・そやから徹底的に利用する事にした」 実際はちゃうけどな。もうバレバレやろうからネタばらしすると、今隊舎に居るヴィヴィオはリインや。 本人の許可をもらった上で、変身魔法でヴィヴィオとして生活してもらってる。ここは恭文に感謝やな。 恭文が事前に話してくれてたおかげで、リイン準備してくれてたし。ただこれ以上は恭文を頼れん。 下手に恭文がこっちに何度も戻ってくるとその気配をスカリエッティに気取られるかも知れん。 そやから別れる時に『何かあるまではもう絶対ミッドに戻らんように』と厳しく言った。うん、かなり厳しくな。 それでヴィータ達にこんな嘘吐くんも、一応理由がある。ガチにうちら三人以外に話したくないんよ。 うちらの内情が思いっきりバレてもうてるやろ? そこ考えるとこの話題を出す事すら躊躇われる。 マジで身元どうこう抜きにスパイが居るなら、余計に気をつけんとアカンのよ。 こうなると捜査担当のフェイトちゃんやターゲットのエリキャロが六課に居ないのは幸運やったな。 また妙な事されんうちに、スバルもこの調子で早々に六課から解放したいんやけど。 くそ、誰がそないな事してるか調査出来ればえぇんに。今はロッサも手が離せんで動けんしなぁ。 まぁえぇ。スパイが居るなら居るで注意して・・・・・・情報流しまくってもらおうか。全部あげたるわ。 決意を固めつつなのはちゃんを見ると、なのはちゃんは呆れたようにため息を吐いた。 ・・・・・・女はみんな生まれついての女優やっちゅうけど、なのはちゃんもそうなんやなぁ。 「そう。でもそんな必要ないよ。ヴィヴィオは私が・・・・・・ママが全力で守るんだから。私にはそのための力があるんだから」 なのはちゃんがまたヤバい瞳しながらなんか言い出した。 でも当然ながらうちらな完全無視や。てーかどう言えと? やっぱ演技に見えんし。 「それで八神部隊長、まぁまぁ想像がつきますが僕が呼ばれたのは」 「そうや。アンタにも一枚乗って欲しい。マジに襲撃があったら逃げて構わん。 もちろん非戦闘要員だけやのうて、交代部隊のみんなも同じく」 さて、さすがに嘘のためにみんなの身の安全までは引き換えには出来ん。 うちが向こうに捨て札としてくれてやるんは、あくまでもこの隊舎だけ。部隊人員は誰一人やるつもりない。 相手が釣れたら早々に逃げてもうて、全員揃って近場の部隊に保護を受けて終わりや。 リインにも危なくなったら早々に転送魔法使って逃げろ言うとるから、ここも問題ナッシング。 「ですが主はやて」 「なんや」 「なぜそのようなめんどくさい手を? 向こうが攻撃を仕掛けてくるのなら向かい打てば」 「アホ。うちらが居らん時狙われたらどうすんのよ。向こうはこっち居るもんやと思って本気で来るで?」 まずうちらは何気に隊舎に居ない時とかも多い。本局や聖王教会行ったり、108行ったりでな。 そういう隙を狙って仕掛けて来たとしても、それはおかしい事でもなんでもないんよ。いや、うちなら確実に狙うわ。 ・・・・・・これでマジでアイアンサイズやオーギュスト・クロエみたいなの出てきたらどないしようか。 「・・・・・・まぁアレよ、隊舎引き換えにして相手方の能力や戦力を少しでも見る事が出来たらえぇと思うてな。 こちらは公僕や。必然的に数で優っている以上、向こうは機動力と突破力重視な電撃作戦を行ってくるやろ」 まぁテロリストの基本戦術やな。真正面からにしても真横からにしても、そういう方法が定番や。 こういうのは数が少なく身軽で、一つの意志で集団が強く統一されているからこそ出来る技や。 「そやからその矛先を空っぽの隊舎にぶつけてもらって」 「アタシらで真横を叩けるようなら叩くんだな」 「相手の不意を突いてやろうという事ですね。なるほど、納得しました。 そのためにはこの隊舎が相手にとってキーがある場所と認識させる必要がある」 「そうや。じゃないと相手かて本気でかかってこん。もちうちもこれで全部の決着がつくとは思ってないわ。 あくまでもこれは捨て札。相手の戦力や戦法を見極めるための手や。戦力削れたら御の字よ」 普通ならこんな真似しないわ。隊舎はさっきも言ったけど、権威でもあり部隊をまとめるシンボルや。 組織の人間なら、命を賭けたとしても守る必要がある。でもうち、もうそういうのやめたから問題ないんよ。 「・・・・・・みんな、それでえぇかな? 無茶なのは承知しとるし、不満なら乗る必要はないけど」 そこはちょっとアレ(演技中)ななのはちゃんも含めて全員OKらしい。 うちの顔を見てすぐに頷いてくれた。ここはまぁ・・・・・・ありがたかったわ。 「なのはちゃんもえぇんか?」 「うん、いいよ。ヴィヴィオは・・・・・・私が守ればいいんだから。 それに相手が襲ってきたらすぐに逃げていいんだよね?」 「もちろん隊舎の中やのうて外にな。なのはちゃんがその場に居たら、ヴィヴィオ抱えて逃げてくれてえぇし」 もうな、ここだけは演技抜きでよーく言うておく。上がしっかりしてれば、下もついてくやろ。てーか現場がこの状況なんよ? うちらの命令やから言うて、なんで意地張ってそないな死ぬ覚悟決めるような戦闘せなアカンのかが分からん。 仮にマジなスパイが居てもここに乗らん理由はないはずや。だって無理に交戦してもうたら自分まで巻き込まれるんやし。 どっちに転んでもここでゴタゴタが起きる流れではないと思う。むしろ口封じを警戒して自分から逃げるかも知れんなぁ。 「そこだけはマジ頼みたいんよ。管理局員としては色々ある思うけど、実際に襲って来られたら確実に対処出来ん。 隊舎がどこぞの要塞みたいな造りになってるならともかく、そうやないもん。防衛しようという思考そのものがバカげてるわ」 「だから・・・・・・なんだね?」 「うん、だからや」 「うん、ならやっぱり大丈夫だ。そういう事なら他の事に構う必要も無さそうだし」 なのはちゃん・・・・・・ごめん、やっぱ演技に見えんわ。こりゃほんまに引き離していきたいなぁ。 もちヴィヴィオが戻ってきた後の事も含めてよ。でも・・・・・・無理、なんかなぁ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 六課の現状はさておき、僕は査察官として秘密の査察の途中。 レジアス中将の身辺もそうだし、予言が局内部のクーデターである可能性も調査しているところ。 正直はやて達の事は心配だけど、今僕の仕事を抜かすわけにはいかない。 今回ばかりは本気と書いてマジと読むモードでいかないといけないしね。 ・・・・・・そう思っていた時、一人の女の子から通信がかかった。 『あ、もしもし。あの、お久しぶりです。日奈森あむです。あの、あたしの事覚えてますか?』 ちょうど手も空いていたので、僕は人目のつかないところでその通信を取る。 「うん、お久しぶり。あむちゃん、元気してたかな。というか、覚えてるに決まってるじゃないのさ。 僕は週1でロイヤルガーデンにお邪魔して、一緒にお茶させてもらってたわけだし」 『あはは・・・・・・確かに』 音声オンリーなのは、彼女がこっちの通信器具を持っていないせい。電話の向こうの女の子は、地球在住の中学1年生。 名前は日奈森あむ。恭文と同様、去年の11月に起きた異変を解決した・・・・・・次元世界を救った英雄の一人。 うん、彼女は英雄だよ。局や公的機関からの表立った表彰なんかは全くないけど、僕達の世界を救ったヒーローだ。 現在は元々通っていた小学校を卒業。そこからエスカレーター式の上の中学に通っている。 そしてそんな彼女が、また突然に僕に通信をかけてきた理由は・・・・・・なんとなく察しがついた。 『あのヴェロッサさん、いきなりでアレなんですけど、率直に聞きます。実は』 「恭文が失踪した理由なら教えられないよ?」 僕がそう返すと、電話の向こうの彼女が口を閉ざした。・・・・・・やっぱりそういう方向か。 まぁそうだろうね。恭文、顔見知り全員に『失踪する』って趣旨のメールを送ったらしいから。 「まぁ、君の予想通りに少し厄介な事にはなってる。でも、それは君が出るべき事件じゃない。 ・・・・・・これは僕達大人が、命がけでも解決しなくちゃいけない事なんだ」 『・・・・・・大人が』 「そうだよ」 . アレはあむちゃん達にしか解決出来なかった。僕達は恭文とリイン以外はそれを見ているだけだった。 それとは立場が逆になっただけ。うん、たったそれだけなんだよ。僕は胸の内で、そう納得する事にした。 「そういうわけだから、おとなしく学生生活を送っているように。いいね?」 『バカじゃん?』 「そうそう、バカ・・・・・・バカっ!?」 普通の子なら、こう言えば納得するところなんだろう。でも、僕は状況の悪さに辟易していたせいで忘れていた。 彼女・・・・・・日奈森あむは、あの恭文が背中を預けられるほどに強い子だという事を。 『大人とか子どもとか、そんなのマジ関係ないし。・・・・・・あたしは恭文に何かあるなら助けたいだけ。 ラン達だって同じ。もしも自分達とのキャラなりの力が必要なら手伝うって、横で無茶苦茶張り切ってる』 ラン・・・・・・あぁ、そう言えば彼女のしゅごキャラと恭文って、全員キャラなり出来るんだっけ。 もちろん彼女とヒカリとシオンもだよ。そっか、だから横で無茶苦茶張り切ってるんだ。 『恭文はあたしの大事で、大好きな友達。何かあるなら絶対力になる。 戦うって言うなら、怖いけど一緒に戦う。だからヴェロッサさん』 「あむちゃん、いい加減にするんだ。お願いだから僕の言う事を聞いて。それに君が来ても、結局恭文の足手まといに」 『・・・・・・さっきから聞いてればゴチャゴチャとっ! いいからツベコベ言わずに何があったか、早くあたしに教えろっ!! あたしは恭文を助けるって決めたっ! でもそのためには何が起こってるのか、ちゃんと知らなくちゃいけないじゃんっ!!』 受話口から、凄まじい音量が飛び出す。それにより僕の左耳の鼓膜が一時的に機能停止。 マ、マズい。これはそうとう苛立ってる。もう回線を通って殺気が漂ってきてる感じだし。 『なのにあのバカ、こっちが聞いてもメールの返事一つくれないし・・・・・・マジムカつくっ!! ほらっ! 早くあのバカに会って一発ぶん殴ってやりたいんだから、あたしに全部教えろっ!!』 「いや、だから・・・・・・あの、あむちゃんっ!? 気持ちは分かるけど、今回は僕達に任せて欲しいんだっ!! てゆうか、趣旨変わってないっ!? 助けるのがいつの間にかドメスティックな方向に話進んでるんだけどっ!!」 『やっぱりバカじゃんっ! 任せらんないから電話かけて確認した上でアイツ殴るんですけどっ!?』 え、なんで僕怒られるのっ!? ほら、僕は何一つ間違った事は言ってないよねっ!! てゆうか、あむちゃんは僕の話聞いてないんじゃないかなっ! 僕はどうして殴るって方向になるのかを聞いただけなのにっ!! 『あぁもう分かったっ! それならいいよっ!! そう言うんだったら、あたしにだって考えがあるんだからっ!! ヴェロッサさんがよくロイヤルガーデンに来て仕事サボってたって、聖王教会の人に言いつけますからっ!!』 「それは本当にやめてくれないかなっ!? それやられると、僕の命にも関わるんだけどっ!! ・・・・・・あぁもう、分かったよっ! 全部教えるから、とりあえず怒鳴るのやめてっ!!」 恭文、クロノ、ヒロリスにサリエルさん、本当にごめん。でもね、僕だって命が惜しいしあむちゃんがとても怖いんだ。 それにあむちゃん、下手をしたらどんな手を使ってでもこっちに来そうだもの。つまり・・・・・・アレだよ。 事態の深刻さを知ってもらった上で、ちゃんと今回はNGだと自分で判断してもらうんだよ。そのために教えるんだ。 ・・・・・・いや、きっとそう判断してくれる。そうだ、きっとそうに違いない。 あむちゃんだって、もう13歳なんだから。そういう冷静な判断が出来るはずだよ。 魔法少女リリカルなのはStrikerS 外伝 とある魔導師と彼女達の崩壊の非日常 第11話 『さて、あのバカを殴るために・・・・・・戦争開始ね』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ あむちゃんから招集がかけられて、僕達は夏休みだけどロイヤルガーデンに集まる事になった。 まぁ夏休み中ではあるんだけど、そこは現ガーディアンの二人のおかげという事で。 それで先日、『失踪します』宣言を送ってきた蒼凪君の・・・・・・ううん、ミッドチルダの状況をあむちゃんから聞かされた。 その大きな嵐に蒼凪君が巻き込まれて、そのせいで誕生日当日に失踪するハメになった事も。 ただ失踪しているのは蒼凪君だけじゃなくて・・・・・・エグザさんやクロスフォードさん、それにリインさんも同じくらしい。 「あむちゃん、ようするに蒼凪君やエグザさん達は、噂に聞くトウゴウさんのお弟子さんだから狙われてるんだね?」 「そうみたい。それでヴェロッサさんの話だと、特に恭文が危ないんだって。 資質的にあのおじいちゃんそっくりだから、代わりとして・・・・・・あぁもう、マジムカつくしっ!!」 あむちゃん、荒れてるなぁ。でもこれは仕方ないのかも。蒼凪君とはほぼ1年コンビだったわけだし。 うん、かなり仲良しだよね。×たま浄化のための連携を見てても、もうツーカーだったし。 「アイツ、またそんな面倒事にナチュラルに巻き込まれやがって。 しかもそれだけじゃなくて、下手したら世界の危機だろ?」 「恭文君、そういうのに縁があるのかな。ほら、電王のみなさんとも何気に仲良しで最終決戦乗り込んだって言ってたし」 「てゆうかあたし、アイツと一緒に『俺達、参上っ!!』ってやらされて・・・・・・マジ恥ずかしかったよ」 「いいじゃない、あむ。とっても貴重な経験が出来て、私達も楽しかったわ。 だって私達、普通に映像に残ってたら銀幕デビューが出来たのよ?」 なお、ガーディアン年少者のあの二人についてはこの場には呼んでいない。 二人は今言ったように年少者ではあるし、あむちゃんの意向で今回の事は伏せておく事にした。 「とにかく、恭文の現状が相当危ないのは分かったよ。それであむちーとランちゃん達はどうするの?」 「当然ミッドチルダまで助けに行く。それで一発ぶん殴る」 「うんうん。・・・・・・え、ぶん殴るってなにっ!?」 その答えを聞いて、僕達は・・・・・・まぁ、軽くため息を吐いた。だってここは予想してたところだもの。 でも後者は理解出来ないよっ! あの、どうして殴るのかなっ!? そして拳を構えないでっ!! 「ボク達とのキャラなり、何かの役に立つかも知れないしさ。 ボクと恭文のアルカイックブレードは、常勝無敗の最後の切り札だもの」 「ミキ、やる気でちね」 「当然。ボクと恭文のパートナー関係はまだ継続中。恭文が戦うなら、ボクも一緒に戦いたいんだ」 ・・・・・・そう言えばアルカイックブレードは一度も負けた事ないんだよね。 ヘイさんとか某BYとか色々と出てきたのにだよ。 「なにより恭文さんの危機なら助けに行きたいんですぅ。 恭文さんはスゥ達の事、沢山沢山助けてくれましたぁ」 「そうだよー。だからあむちゃんだってやる気なんだしさー。それにシオンとヒカリの事も心配だもん」 「ミッドに初上陸して、私という輝きで世界を救うわ。長年の夢であるダイヤ教を設立するの。 そして久々のギャレンカラットよ。世界の危機なんて、私と恭文君で軽く救えて当然」 とりあえず一番最後は無視する事にした。あむちゃんも頭抱えてるけど、気にしない方向では行くらしい。 「ですが日奈森さん、行ったところで出来る事は限られます。 日奈森さんは魔法資質があっても、戦闘者ではないんですよ?」 「海里の言う通りよ。かえって恭文や例のフェイトさん達の足を引っ張る可能性だってあるわ。 普通に魔法戦闘が出来るならともかく、あなただって私と空海と同じく素人じゃないのよ」 「ここはおとなしくヴェロッサさん達に任せて・・・・・・って、それも不安なんだよねー。 だってあむちーの聞いた話だと、その恭文の昔馴染みが作った部隊、もう動けないんだよね」 「・・・・・・うん、そう言ってた。だけど他の部隊の人達にその予言の事は教えられないし、戦力とか体勢を整えるのが難しいって」 蒼凪君の昔馴染み・・・・・・というか、例の片思いのハラオウンさんも先日まで在籍していた部隊は、現在瓦解寸前。 なんでも人間関係のゴタゴタのせいで、たったひと月でそんな状態に追い込まれたとか。 その上戦力となる魔導師からもそのせいで何人も離脱者が出て、世界崩壊の危機に備えるだけの力が無い。 そのためにどうやって予言対策を取るかが問題になっていて・・・・・・ううん、アコースさんは『無理』って断言してたらしい。 そしてそんな中、蒼凪君と例の片想いのハラオウンさんはその部隊に見切りをつけて、独自に戦うつもりとか。 それでそこに関しては、クロスフォードさんとエグザさんも同じ。まぁここは僕達も1年以上の交流があるからよく分かるよ。 クロスフォードさんとエグザさんは大人ではあるけど、蒼凪君と同じように言い訳出来ない人達なんだから。 「このままじゃあ管理局崩壊のコースでちか。それはまた」 「強烈だな。しかも拙者達が話に聞く限り、管理局の規模は巨大。 それが潰れれば、次元世界や局の人間達がどういう扱いを受けるか分かったものではないぞ」 「えーっと、えーっと・・・・・・もし管理局が崩壊しちゃったら、ヴェロッサさんやクロノさんはどうなっちゃうのー?」 「とりあえず、以前のように僕達にお菓子を持ってくるような事はなくなるだろうな」 「そんなー! クスクス、ヴェロッサさんのお菓子好きなのにー!! そんなの嫌だ嫌だー!!」 だからあむちゃんは行く覚悟を決めてる。そこはラン達も同じ。その理由は・・・・・・僕も分かる。 「なにより、これはあたし達の世界の問題でもあるじゃん。なんか話を聞いてからあたし、ジッとしてられないの。 何か出来る事あるんじゃないかって声がして、抑えられない。・・・・・・とにかくね、みんなに説明したのは」 「蒼凪君の現状が相当に危険だと言う事と、その辺りの事もあるから僕達も身辺には気をつけるように・・・・・・かな」 「うん」 蒼凪君が僕達を頼らずに失踪したのも、間違いなくそこが理由だよ。 そのスカリエッティ関係で、蒼凪君もそうだけど周囲の人達に刺客が差し向けられる可能性があるから。 だからチケットを持っていない人間では行けないデンライナーの方に逃げ込んだ。 うん、大体の事情は分かった。でも・・・・・・ちょっと許せないな。 それならそれでちゃんと話してくれれば、僕達は全員必ず力になったのに。 僕達はもうガーディアンじゃない。それで確かに普通の中学生。 だけど、蒼凪君の仲間で友達である事は変わらないんだから。 「ヴェロッサさんもそこの辺り凄い念押ししてきててさ。まぁそういうわけだから」 「あむちゃん、悪いけど僕は君一人で行かせるわけにはいかない」 あむちゃんが、僕の方を見て驚いたように目を見開く。だから僕は、その視線を受け止めて頷く。 「アコースさんの話通りなら、今のミッドチルダは多分あむちゃんの想像以上に危険な場所になっているはずだよ。 いくらキャラなりの力があると言っても、相手はテロリスト。そんなところに一人でなんて行かせられない」 「あむちゃん、そこは辺里君だけじゃなくて僕も同意見。なによりアテも無く飛び込んでどうするの? 恭文君は失踪状態なわけだし、あむちゃんからの連絡には絶対に応じないよ。断言してもいいね」 「下手に事情を説明したら、あむがこういう反応をするというのが分かり切ってるものね。だからメールも返事しなかったのよ。 ・・・・・・そういうわけだからあむ、絶対に一人では行かせられない。タイトロープ・ダンサーでふん縛ってでも止めさせてもらうわ」 「唯世くん・・・・・・なぎひこに、りままで」 少し心が痛むのは、あむちゃんの気持ちが分かるから。分かるから、僕はここで止めなくちゃいけない。 そして分かるからこそ、僕は厳しい表情を一旦下げてあむちゃんに笑いかけながら言葉を続ける。 「だからあむちゃん、僕も一緒に行く」 「・・・・・・へ?」 「ま、それしかないよな。少々やり方は考える必要があるだろうが」 「俺達は基本ただの中学生と小学生です。テロリスト相手には分が悪すぎます。 ですが・・・・・・戦略と相手との相性、そしてキャラなりの能力の使い方次第であるいは」 三条君の言葉を聞きながら、僕達は全員で顔を見合わせる。そして頷き合ってから、またあむちゃんの方を見る。 あむちゃんはただただ驚いた顔をしていて、僕達の事を目をぱちくりさせながら見ていた。 「あむ、私達はさっき『あなた一人では行かせられない』って言ったわよね? だから全員で行くわよ。それで私の世界を勝手に壊そうとしてくれる連中を・・・・・・叩き潰す」 「うんうん、クスクスやるよー! ヴェロッサさんのお菓子のためならえんやこらー!!」 「全く・・・・・・元ジョーカーUは本当に世話が焼けるよ。やや、ちょっと困っちゃう。 こんなの恭文やシオンちゃん達だけでどうにかなるわけないもん。こういう時こそやや達の出番だよ」 「そうでち。こういう時こそ、お母さんキャラも出来るようになったKチェアのややちゃんとペペの出番でち」 燃えているのは、そう言って笑う真城さんと結木さんだけじゃない。男の子組だって、負けてない。 「でも空海、いいのか? さすがに危険・・・・・・って、放っておくわけにもいかないか」 「あぁ。そのスカリエッティってバカのせいで管理局が壊れたら、俺達のところにまで影響するかも知れない。 なにより恭文にはミッドチルダの案内と魔法戦教えてくれるって約束があるしな。それはきっちり守ってもらうぞ」 「ジェイル・スカリエッティは日奈森さんの話を聞く限り、危険なマッドサイエンティスト。 万が一にもしゅごキャラのアレコレを知られたら、何をするか分かったものではありません」 「拙者達は、一応お主達から聖夜小ガーディアンの席を引き継いだ身。 なれば見過ごすわけにもいかんだろう。おそらくこれはガーディアンの仕事にも繋がる事だ」 本当だったらきっとこんな事は間違ってる。こんなの僕達だけでなんとかするのは無理。 でも・・・・・・戦おうとしている蒼凪君の背中を押すくらいの事なら、なんとか出来るかも知れない。 「なぁナギー。場合によってはナギナギとのアレ、使っていいか? てーかてまり、あと任せた」 「もうリズム・・・・・・焦り過ぎよ。少しは落ち着いていかないと。ねぇ、なぎひこ」 「ホントだよ。それで極力無茶は無しにしないと。三条君の言うように、僕達はただの子どもなんだから」 「そうだね。キャラなりの能力がいくら魔導師のそれと対等にやれるとは言え、それでも無茶は禁物」 ここは蒼凪君と過ごした時間の中で魔道師組から断言された事。 僕達の力は僕達が思っていたよりも強いものみたい。 僕達全員が出来るキャラなりの能力は、魔導師のそれと対等に渡り合えるとか。 それだけじゃなくて向こうでは主流の非殺傷設定に関しても、キャラなり状態だと相当強い耐性があるみたい。 それでヒロリスさん達からも力の使い方をかなりの期間教えてもらって、訓練も継続はしてる。 こういう時一緒に戦えるようにというのと、あとはもう習慣みたいになってて、やめるのも違うかなーと。 特に僕はそうかな。蒼凪君は僕にとっては戦い方を教えてくれた先生でもあるから。 その先生から教わった事、錆びつかせたくなくて・・・・・・うん、結構頑張ってる。 「あと、単独行動も絶対に無しだよ。多分相手は・・・・・・僕達を敵と認識したら殺そうとするから」 「あくまでも僕達は状況を見た上で、出来る事があるようであれば手助けする・・・・・・だな。 よし、その方向で行くぞっ! 皆の者、それでいいなっ!?」 キセキの声に、全員が強く頷く。そして同じように声をあげる。 『了解っ!!』 「あの、えっと・・・・・・みんな、マジ?」 「マジだよ。・・・・・・ただし、今キセキが言ったみたいに状況を見た上で行動を決めるよ? 前線で戦う局の人達や蒼凪君の邪魔になる事だけは、絶対に避けなくちゃいけないから」 「あむ」 キセキが僕の隣から離れて、あむちゃんの前に来る。あむちゃんは自分を見上げるキセキの事をジッと見ていた。 「恭文の事が心配なのは分かるが、それだけは僕と唯世に約束してくれ。 僕達が無理だと判断したら、どんなに悔しくても引き下がって恭文達に預けるんだ。いいな?」 「・・・・・・うん、分かった。というかみんな、マジありがと。あたし・・・・・・嬉しい」 さて、こうなると僕達もアコースさんと改めてお話する必要があるね。それで介入を絶対に納得させる。 僕達にはこの件に首を突っ込みたい理由がある。それは蒼凪君が今危機だという事。 特に僕は・・・・・・蒼凪君に剣を預けてもらった王だもの。王は、騎士を絶対に裏切ったしない。 騎士が危ない目に遭っていると分かっているのに、見て見ぬ振りもしない。 僕の騎士は、僕に対して同じ事をずっとしてくれていた。僕は弱くてダメな王様なのに。 それでも信じてくれて、一緒に戦ってくれた。それで僕は本当に救われた。 ダメな王様なのは今もまだ変わらないけど、だからこそこのままなんて僕は納得出来ない。 僕は僕という小さな世界の王様。でも蒼凪君自身やその周囲の世界が本当に壊れそうになってるなら、それを全力で助けたい。 もちろん怖くはあるけど、それよりも・・・・・・その感情の方が強い。きっとそれはみんな同じ。 僕は王として、僕に剣を預けてくれた騎士である蒼凪君を助ける。友達として、蒼凪君を放置出来ない。 蒼凪君、きっと君は僕達の事怒るよね。でもごめん。これが僕達・・・・・・聖夜小ガーディアンだから。 「・・・・・・それと歌唄ちゃんには黙ってた方がいいかも」 「歌唄? ・・・・・・あ、そっか」 歌唄ちゃんは蒼凪君の事好きだから。多分今の話を知ったら、絶対に僕達と行動しようとする。でもそれはダメだよ。 ようやく仕事も軌道に乗ってきて、イースター時代に負けないくらいにうたえるようになったのに。 「そう言えば歌唄、今仕事忙しいのよね。私もネットで色々見てる」 「えぇ、忙しいのですよ? 毎日打ち合わせで大変なのです」 「タラランティーノ監督の映画、また出る事になったからよ。その関係でな」 「へぇそうなんだ。てゆうか歌唄、なんか大躍進しまくり・・・・・・アレ?」 あむちゃんが顔を少し青くしながら、周囲を見渡す。というか、僕達も同じく。 そしてあむちゃんの左隣に、ナチュラルに赤と白のしゅごキャラが居た。 「イルっ!? てゆうか、エルまでっ! アンタ達・・・・・・ま、まさか今の話っ!!」 「ぜーんぶ聞いていたのです。うぅ、まさか恭文さんがそんな事に・・・・・・これはジッとしていられませんっ!!」 言いながらエルが両手を胸元で強く握り締めて、線のような瞳から涙を流しながら声を張り上げる。 「今こそエルとイルと歌唄ちゃんの愛の力で、恭文さんの危機を何がなんでも救ってやるのですっ!!」 「ま、アタシはアイツとキャラなり出来るしよ。ミキ達と同じくただ行くだけでも役に立てると思うぜ? ・・・・・・アタシ達、アイツに命救われたようなもんだしさ。なのに聞いといてこのままは納得出来ねぇ」 「そうなのですっ! 今日のエル達や歌唄ちゃんがあるのは、恭文さんが助けてくれたおかげっ!! 今こそ、今こそその恩を全力全開でおまけも付けて返すべき時なのですっ!!」 「いや、そういう問題じゃないからっ! てゆうかエルもイルも、この話は歌唄には絶対内緒だからねっ!? 歌唄がもし知ったら仕事ほっぽり出して行きかねないじゃんっ! そうなったら映画とかどうすんのっ!!」 「映画の撮影は11月に入ってからだし、それまでなら多少は余裕あるわよ?」 その声に僕達は身体が震える。そして恐る恐る声のした方・・・・・・ロイヤルガーデンの入り口の方を見る。 そこには白のノースリーブのTシャツに、穴あきジーンズを履いたツインテールの女の子が、いつの間にか居た。 「てゆうかアイツ・・・・・・ホント信じらんない。大変だったり大事な時に何も言わないところ、イクトにそっくりなんだから。 私はいつでもどんな時でも私の歌を届けて背中を押して、一緒に戦うって何度も言ってるのに・・・・・・全くもう」 少し膨れたようにそう言った彼女は、それからすぐに瞳を閉じて軽く笑った。 「まぁいいわ。たまたま通りがかってアンタ達を見かけて、気になってここまで来たのも何かの縁。 というより、運命かしら。どうやら私達、本当に切っても離れられない関係になってるみたいね」 瞳を開けると、彼女はとても自信に充ち溢れた不敵な表情で、腕組みしながらこちらを見出した。 「あむ、アンタ達もそのケンカ、私達にも一枚噛ませなさい。 恭文に私の歌、届けに行かなきゃいけないから。それで・・・・・・ぶん殴るわ」 「う・・・・・・歌唄っ!? なんでここに・・・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「うぉうっ!!」 「ん、恭文どないしたんや。いきなり妙な声出して」 「そうだよー。恭文さん顔真っ青だよー?」 隣に座っていたヴィヴィオが、心配そうに僕の頬を撫でてくれる。・・・・・・アレから少ししか経ってないのに、ここにも慣れたみたい。 それは嬉しいし、このすべすべな手で撫でられるのも嬉しい。だけどね、納得出来ない事があるの。 「い、いや・・・・・・その、なんか強烈な寒気を感じて」 「寒気? 青坊主、お前風邪引いたのかよ。てーか俺らにうつすなよ〜。俺様はデリケートなんだからな」 「いや、多分違います。こう、凄まじく嫌な予感がした時のアレで・・・・・・アレレ?」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ・・・・・・あれからひと月。私は108で捜査活動の真っ最中。 日々を忙しくも充実しつつ過ごす私に、幸いな事に六課から増援が来てくれた。 「・・・・・・というかシャーリー、ごめんね。もう私、シャーリーの上官じゃないのに」 「いえ」 それはシャーリー。108に出向という形で来てくれて、私の仕事を色々と手伝ってくれてる。 一応予言の事とかも話して、危険なのは伝えたんだけど・・・・・・それでもなの。 「というかフェイトさん、それ何度目ですか? せっかくのお昼時なんですし、そういう湿っぽいのは無しにしましょうよ。 なにより、私の上官はフェイトさんだけです。というか、嘱託に戻っても執務官の資格は有効なんですよ? なにより」 「なにより?」 「・・・・・・私がダメ押ししてあんな状態にしちゃいましたから。正直、居る権利そのものが無いんです」 シャーリーは本当に泣きそうな顔で・・・・・・それでもいつもの調子で笑ってそう言った。 私はなんというか、何も言えなかった。だってそれは、間違いのない事実なんだから。 「だからまぁ、逃げて来ちゃいました。そんなわけで、感謝される理由そのものがないんですよね」 「・・・・・・大丈夫だよ。私はもっと最低だから」 シャーリーのフォローは、結果的にティアナを追い込んだ。そして私は、見てみぬ振りをして傍観した。 傍観者は、ある意味では一番最低な立ち位置だよ。ただ見ているだけなんだから。 本当に、今思うと最低だと思う。私はきっと、なのはや六課の事だけしか考えてなかった。 自分の教導を否定されたなのはの気持ちを考えて、私達の部隊に問題なんて無いと決めつけて逃げた。 ・・・・・・それでここは108の隊舎の食堂。その一角で、私は会議も兼ねてシャーリーとご飯の最中。 ギンガは三佐に報告があるとかで、少し遅れてる。というか・・・・・・うーん、ギンガにも申し訳無い事してるなぁ。 さすがにデンライナーの事とかは話せないよ。あの、あんまりにブッチギリ過ぎてはいるから。 ちなみにギンガは108で匿うとも連絡したそうなんだけど、局関係にスパイが居る可能性を指摘されて引き下がったとか。 というか、正直あそこは108や本局の保護を受けるよりずっといい隠れ場所だからなぁ。 そこの辺りもギンガには説明していて、それで一応は納得して引いたんだ。けど、やっぱり納得はし切れていないみたい。 捜査途中に青い空を見ながら、たまに『なぎ君』って呟いてるのを何回か聞いてるから。 「それであれからなぎ君から連絡は」 「えっと、何回かメールや通信で」 もちろんバレないようにだね。それで・・・・・・とっても楽しく日々を過ごしてるらしい。 あのテレビの中のヒーローなみんなと、それにヴィヴィオと時の列車に乗って冒険中。 「一応お友達のところで隠れてるんだ。それもとっても大事なお友達」 「お友達・・・・・・去年の観測任務絡みとか? もしくはGPO」 「どっちも違うの。私も同じ事言ったんだけど、首を横に振ってたから」 あははは、全てが話せないのって辛いなぁ。私は最近色々受け入れられてきたんだけど。 「それで話を聞く限り、局だろうとスカリエッティ一味だろうと行けないところですよね? うーん、どこだろう。まさか精神と時の部屋に入ってるとは思えないし」 「シャーリー、さすがにそれはないよ」 ポテトサラダをつまみつつ、私は改めて考える。・・・・・・ヤスフミ今頃、なにしてるのかな。 きっと楽しくはやってるだろうけど・・・・・・私も冒険、してみようかな。ヤスフミが今見ている世界を知っていきたいもの。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 『変身っ!!』 「僕のこころ、アン」 『解錠』 「ロックッ!!」 その場に居る全員・・・・・・ハナさんとヴィヴィオを除いた全員が色とりどりの光に包まれ、その姿を変える。 「・・・・・・俺」 全員一斉の変身で現れるのは、六人の電王。そしてゼロノスにてんこなりした僕。 良太郎さんが攫われて、その孫まで出てきて色々大変だったけど・・・・・・ここからは反撃開始だ。 「再び参上っ!!」 「お前達・・・・・・僕に釣られてみる?」 「俺の強さは、泣けるでっ!!」 「お前達、倒すけどいいよね? ・・・・・・答えは聞いてないっ!!」 目の前には、軍勢という表現がぴったりなイマジンの軍勢。そして黒い仮面ライダー。 「最初に言っておくっ! 俺達はかーなーり・・・・・・強いっ!!」 ≪その通りっ!!≫ もう珍しくシリアスモードだったけど、ここまで来たらあとはフィナーレまで突っ走るのみ。 【【「キャラなりっ! リインフォース・ライナー!!」】】 だから僕は、ゼロノス・・・・・・侑斗さんとデネブさんやみんなに続けて、連中を左手で指差す。 【【「・・・・・・さぁ、お前達の罪を数えろ」】】 ≪そして私という鮮烈な伝説をその目に焼きつけなさい≫ ≪ジガンも今日は本気モードなのー♪≫ 緊急事態だったのでシオンとヒカリと一緒に久々のてんこなり。 僕もこの場でリインフォース・ライナーに変身した。・・・・・・うぅ、ダメだなぁ。 ×たま絡み以外で、キャラなりはしないって決めてたのにー。 「言っとくが俺達は、ここからファイナル超えてもクライマックスだぜ?」 【倒してもいいですわよね? 答えは聞いていませんが】 ≪一人足りとも逃がしませんので覚悟してください≫ 不敵に笑いつつそう言うのは、金色の髪に緑色の瞳をして小太刀二刀を逆手に持った男の子。 その隣には紫色の髪に灰色の瞳をした女の子。なお、武装はごついロングライフル。 「みんなの時間・・・・・・みんなの笑顔、絶対に消させない」 【あなた達には今すぐに元の時間に戻ってもらいます。・・・・・・ファルケン、行くよ】 ≪あぁ、任せろ≫ ・・・・・・良太郎さんの孫と一緒にまた恭太郎とかえで達まで来てるからビックリだよ。 まぁいいか。これだけの人員が居るなら、簡単には負けたりしないわ。 【そして私という最強、その身に刻み込みなさい】 【シオン、お前だけというのは間違っているだろ。複数形にしろ】 【お断りします】 【なぜだっ!?】 それがシオンクオリティだと理解するのに、僕は1年かかりました。そしてヒカリはまだのようです。 「私はもう言った」 あっさりと最後美味しいところを持ってくジークさんの発言にズッコケそうになるけど、ここは気にしない。 さて、色々めんどくさくはあったけど・・・・・・ここからストレス解消のためにぶっ飛ばしてくぞー。 「・・・・・・みんな、いくよ」 良太郎さんの静かな言葉に、全員が頷く。当然僕と僕の中に居る二人も同じく。 「突撃ー!!」 だから僕達はこちらへ迫ってくるイマジン達に向かって、ハナさんの号令の元で突撃する。 『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』 「「「行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」」」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「でも楽しそうなんだ。友達と一緒に色んなところへ行って、冒険してるんだって」 「冒険って・・・・・・それ、フェイトさん的にはアリなんですか?」 「ん、アリだよ。だって、旅や冒険はヤスフミの夢なんだから」 きっとヤスフミは今までもずっと、そうやって自分の夢を叶えるために頑張ってた。 それは今も同じで、だからなのかな。文面がとてもキラキラしてる感じがして、見てると元気が出るの。 「・・・・・・フェイトさん、なぎ君に対しての認識が変わりました?」 「うん、変わったと言えば変わったかな。多分私達って、同年代の男の子と女の子にもなれるって気づいたの」 「へぇ、それはそれは・・・・・・意味深ですねぇ」 「うん、意味は深いよ。ヤスフミにもそこは話してたりする。まだちょっと戸惑いはあるけどね」 シャーリーの方を見て、苦笑気味になるのはここ最近の色々な変化が気になってるから。 私にそんな権利があるのかって、ちょっと迷ってしまって・・・・・・でもそれも逃げなんだと思う。 ならこれからどうすれいいか、まずどうしていきたいかを今は探している最中。 というか・・・・・・考えて探す事しか出来ないとも言えるけど。そこの辺りは前回ラストを参照で。 「いいんじゃないですか? 六課やエリキャロの事は、確かにとても大きなと思います。 でも、そのせいでフェイトさんが幸せを諦めたりする事の方がずっと大きな間違いですよ」 「うん、知ってる。それは・・・・・・また別の意味での逃げだから」 「・・・・・・フェイトさん、やっぱり変わりました? 前だったらヘコんでたのに」 「まだその最中かな。というか・・・・・・そうだな、私は気づいたんだと思う。 『変わりたい』ってずっと思っていた私に。だからいっぱい考えてるの」 シャーリーがなんでかニヤニヤしてるけど、私は気にしない。・・・・・・とにかく、色々変わったね。 やっぱりあのたまごの子のおかげかな。ありがと、出てきてくれて。それで・・・・・・心配かけて、ごめんね。 「あ、それでフェイトさん。話は変わりますけど」 「何かな」 「・・・・・・例の予言解釈、どこまで進みました?」 シャーリーが周りを気にしつつ、小声でそう行った。 なお周りは中々に騒がしくて、シャーリーの小声での発言なんて気になってないみたい。 「私も今朝はやてに確認したんだけど、一応の目星はついたみたい」 「というと?」 「一番狙われそうなのは、今度ミッド地上本部で行われる公開意見陳述会だよ」 「・・・・・・あぁ、アレですか」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 公開意見陳述会とは、ミッド地上本部で1年に一回行われる会議。 ミッドチルダはもう言うまでもないが、次元世界の中心世界。 そのためその地上本部の運営には、誰も彼もかなりの注目を集める。 そしてこの会議ではマスコミにその様子を公開した上で、予算関係も含めた運営のアレコレについて話し合う。 で、当然だがそこに騎士カリムや本局のお偉方も多数出席する。だからこそ、テロを起こすには絶好の機会だ。 騎士カリムと予言解読チームは、近日中にあるこの会議に何かが起こる可能性を感じた。 それで六課の穴だらけの前線メンバーを総出動で、会議場の警備に回るらしい。 「・・・・・・という事なんだが、ヒロ・・・・・・分かったか?」 「いやいや、今更私に概要説明っておかしくない? ほら、私これでもクロスフォード家の分家だし」 「気にするな。一応おさらいは必要だろ?」 ヒロの家は分家ではあるが、局のスポンサーも務めている財団の一員だからな。 なお、当然だがクロスフォード財団の人間も、今回の陳述会には出席するんだ。 「でも、確かにクサいよね。もし何か起こるとしたら・・・・・・って、今更だけどあやふやだよねー」 ≪それは仕方ないかと。我らは予言というあやふやなものを指針に動いているわけですし≫ 「だからこそ、『何か起こるかも知れない』で動くと。通常の部隊運営では、ありえないよね」 「ありえないな。だが、先手先手を打っていかないと結局は世界崩壊だ。それじゃあ話にならないだろ。 六課の仕事は、そういう『起こるかも知れない』という事に対しての備えであり保険である事なんだしな」 ここは聖王教会の一室。てーか、ヒロの部屋。なお、俺とは色々諸事情鑑みて隣同士だ。 普段は変装した上で、ここに臨時の職員という形で泊まり込んでいたりする。それはもう二人も同じ。 「それでこんな時にやっさんは、またデンライナーで冒険してるってわけだ。 むしろアイツに未来の様子見に行ってもらった方が早くないか?」 「それが出来ればいいんだけどねぇ。でも、未来って決定してないから無意味じゃないかな。 てゆうかアイツ、マジでパスやらチケットやらを・・・・・・くぅ、私も乗りたいのにー」 「奇遇だな、俺もだ。でもま、いいんじゃないのか? やっさんにとっては最高のリフレッシュだろ。 なにより安全だ。GPOやあむちゃん達を頼るよりはずっといい選択だろ」 家族関係のゴタゴタも今回はなかったそうだから、ここはいい。とにかくあそこに居ればそういうのにも晒されない。 その上局関係に干渉される危険性もない。今更だが隠れ場所としては絶対的に安全だよ。 「まー、それはね? スカリエッティがチケット持ってない限りは私も安心出来るし。 ・・・・・・てーかサリ、ティアナちゃんの方はいいの? ほら、今日の担当はアンタだし」 「それは大丈夫だ。シスター・シャッハがついてくれてるしな。・・・・・・でもあの子、もったいないよな」 「あぁ、もったいないね」 やっさんからティアナちゃんをなし崩し的に預かって約ひと月。 俺らは基本ヒマなので、付きっ切りで鍛えてみた。そうしたらアレだよ、マジでびっくりした。 「てーか六課はバカだよねー。あんなダイヤモンドの原石を潰しかけるなんてさー」 「そうだ。だからもったいないんだ。てーかあの子は、俺やお前、やっさん側の人間だろ」 結論から言うがティアナちゃんの戦闘資質はとても高かった。下手したらやっさんに迫る勢いでだ。 まず心を鬼にして施したジープ訓練のおかげで、逆ギレに近い形でトラウマを吹き飛ばした。 その後俺らでようやく訓練スタートしたんだが・・・・・・あの子、自分を凡人って言ってたが全然そんな事ないぞ? どこまでも届く正確且つ素早く鋭い射撃に、足こそ止まってしまうが色々な使い方を可能とする幻術。 戦術関係の飲み込みも早い上に土壇場での度胸と実行力も高い。なにより根っこが勉強家な上に負けず嫌いだ。 その上でどんどん学習して、考えて実験して・・・・・・失敗してもそれを糧にまた成長する。 とりあえず今のティアナちゃんは、預かった時のティアナちゃんとは比べ物にならない形に仕上がっている。 それで思ったのは、ティアナちゃんは今の局の教導プランだと目が出にくいタイプだという事だ。 六課の基本教導プランは公僕を育てるなら一つの完成形だが、戦闘者を育てると考えると頭打ちな部分があるんだ。 公僕という性質上、どうしても犯人を活かして捕らえる事を絶対前提とした戦い方を叩き込まれる事になる。 別にそれは悪い事じゃないんだ。むしろそういう教育をしていかない方がおかしいし、なにより数が居る事も前提になっている。 エース・オブ・エースや閃光の女神一人に押しつけず、同じ組織の仲間同士で協力し合って事件を解決する。 それが警察機構に置ける戦闘訓練の基本ラインだ。ここは訓練校もそうだし、教導隊の訓練も変わらない。 それでお気づきの方も居るだろうが、そうなると今の局がやってるエース推しはどうなるのだろうか。 当然ながらそれはとても矛盾している。プロパガンダと言ってしまえばそれまでだが、それでもそこは間違いなんだ。 まぁ話が過剰に逸れそうなので、ここの辺りがどうして矛盾してしまうかはまた別の機会に。 それで当然ながら高町教導官に教えてもらっていたティアナちゃんも公僕・・・・・・局員。 従ってティアナちゃんも当然ながら公僕という事を念頭に置いた魔道師として育てられた。 ・・・・・・でもな、この教導プラン無茶だって。確かに基本部分から固めようってのは正しいさ。 だがそれが今起こってる事件に対処させるためのプランとは、俺には思えない。いくらなんでも無茶し過ぎだ。 とは言え、実を言うと俺とヒロもやってる事は高町教導官と何も変わらなかったりするんだな。 基本的な射撃訓練に、模擬戦での実戦でのいやんなるくらいの密度での経験値の蓄積。 あとはシミュレーション。基本はこの繰り返しだったりする。ただし、その密度は自慢じゃないが六課の訓練の比じゃない。 俺らは公僕を育てようなんて思ってない。殺し合いやっても生き残れる『戦闘者』としてティアナちゃんを鍛えてる。 色々考えたが、現状を考えるとこれが必須だと決定した。もちティアナちゃんとは相談の上でだ。 ここを抜かして高町教導官の二の舞は嫌だしな。あと教えているのもセンターガードの技術じゃない。 どっちかって言えばやっさん・・・・・・フロントアタッカーよりのガンナーに育ててる。 言うならティアナちゃんの持ち前の土壇場での発想力というか、肝っ玉を鍛えてなんとかって感じだよ。 で、これが非常に効果的だ。ティアナちゃんはさやっさんに迫る勢いで・・・・・・というか、やっさんと同タイプの資質がある。 やっさんも発想力と土壇場での爆発力は極めて高い。そしてそれを形に出来る異質な魔法を使う事が出来る。 それが戦闘者としてのやっさんの強さだ。ティアナちゃんもベクトルは違えど同質って事だな。 ちなみにやっさん的には安全も考慮して、一緒にデンライナーに乗ろうかと考えてたらしい。 だがそうしなくて正解だよ。だってたったひと月で教えてる俺らが唖然とするほどにあんなに伸びるんだぞ? 今言ったように本人の気持ちの問題もあるし、ここは無茶苦茶努力させた方がいい。 色々な事にフラストレーションも溜まってた分、成長の爆発力は本当に凄いものがあるんだよ。 あ、体調は俺の方で見てる。そこだけは本当にしっかりとやらせてもらっているよ。 「でもまぁ、諸事情込みとは言え預かって正解だったね。おかげで私らは退屈せずに済む。 ティアナちゃん本人も、『毎日が楽しい』って言いたげな顔してるのはありがたいよ」 「確かに・・・・・・言わなくても顔に書いてるよな」 あの表情を思い出して、ヒロと二人でつい頬がにやけてしまう。・・・・・・本当にいい子だと思う。 あれだ、やっさんが単純にお人好しなだけじゃないというのはよく分かった。 ティアナちゃんの事見てたら、そりゃあ放っておけないさ。あのままなのは、色んな意味で罪だ。 なんとかしたいと思うだけのものが、ティアナちゃんにはある。そこは間違いない。 「で、どうする? ティアナちゃん、このまま教会に預けとく?」 「・・・・・・正直悩みどころではあるよな。まぁ今回の件に連れてくのはナシにしたいが」 とりあえず俺らもここに突入するのは決定だ。何か起こるかも知れないし、起こらないかも知れない。 だがテロを起こしてどうこうだと言うなら、ここを外すのは馬鹿げている。 ≪賊の今までの傾向を見るに、単純な戦力は管理局のそれと比較にはならないはずです。 というより、テロリストの戦法の基本は電撃的な奇襲に絞られます≫ 今も昔も、テロリスト・・・・・・戦力に劣る人間のやる事は変わらない。今金剛が言った他には、暗殺ってのもある。 そういう意味合いから言っても、やっぱりここを狙わない理由はない。暗殺だけに絞って考えても、その対象が勢揃いするわけだしな。 暗殺の基本は周囲にバレない事だ。だからその手のものは、夜だったり逃走が安易になるように人ごみの中を狙う。 狙撃という手段が多く用いられるのにしたって同じだ。今回の状況は、やはりそういう部分からも気をつける必要がある。 そもそも真正面からケンカ吹っかけて高官殺しても、それは暗殺にはならないしな。 だが、そういうのをやりやすい状況を自分達で作り出す事は可能なんだ。例えば陽動部隊が派手に暴れる。 大半の戦力はどうしてもそちらの対処に回らざるを得ないから、高官の警備が薄くなる部分があるのは否めない。 もちろんそこを予測して人員を残してはいるだろうが、それ以上の能力ないし戦力を持ったのに一点突破されたらそこで終わり。 いや、爆破物関係で一気に粉砕という手も考えられる。何気に上の人間を守り抜くのは、難しいって事だな。 先ほど公僕の戦い方は数の暴力と組織力と言ったが、そうじゃない人間はどうするか? 今言ったように数の暴力に頼らなくても出せる・・・・・・個人スキルを磨いて徹底特化させた上で戦う。 だからこそ戦闘者と呼ばれる連中は、公僕よりはそうじゃないのが多いのかも知れないな。 「確かにね。てゆうか、鉄壁で評判の地上本部を陥落出来たら、これ以上無いパフォーマンスだよ。 目的どうこうは抜きに、ジェイル・スカリエッティとその一味は間違いなく歴史に残る」 ≪で、それは可能だ。その評判の原因である防御フィールドは魔力エネルギーを使ったもの。 ガジェットが特攻気味に大量に突撃してきたら、AMFで穴を開ける事くらいは造作もねぇ≫ 「しかも警備が厚くなって当然の陳述会でそれをやるなら、なおさら伝説級だな。とは言え、それだけじゃ足りない」 それだけじゃあ管理局システムの崩壊には繋がらないんだよ。誰かしら人質取ったとしても、おそらく同じ。 仮に地上本部を制圧して、そこに居る人間人質に取ったとするだろ? でもそれで本局まで潰すのは無理だ。 というか、どういう手を使うにしても絶対的に必要なものがある。それは・・・・・・決定的且つ圧倒的な戦力。 地上本部を陥落させた後・・・・・・ないしそれと同時進行で切り札的なものを持ち出して、それで管理局を潰すつもりか? どちらにしろスカリエッティ陣営は切り札的なものがあるのは間違いないな。 それも向こうが管理局の全戦力を敵に回しても自信を持って『勝てる』と思えるだけのものだ。 どうやら何にしても連中は、管理局そのものをぶっ潰そうとしてる事は決定らしい。 「サリ、サリとしてはこういう時どういう戦略を立てる?」 「地上本部の陥落阻止はもう諦めた方がいいだろうな。 そこの人員も怪我して当然って考えをするべきだ」 冷たい事を言うようだが、テロリストないし暗殺者の奇襲攻撃に対応するのは本当に難しい。 俺自身の経験や過去のデータから言っても、気づいた時には起きてるってのがパターン化されてんだよ。 「それよりも襲撃犯の確保を優先だ。マジで襲撃しようとするなら、ガジェットだけにやらせるわけがない」 「つまり、向こう側の戦闘機人なりルーテシア・アルピーノがでてくる?」 「あぁ。それでそういう作戦を取るという事は、やはり相手方の戦力の層は薄い。つまり打たれ弱い」 ただ、ここでさっき言ったような切り札的なものが持ち出されると、話が変わってしまうが。 でももしそうじゃなかった場合、相手が撤退する前にどれだけの奴らを捕縛出来たかで勝負が決まる。 「本部がどんだけ陥落しようと襲撃してきた奴を全員ふん縛れれば、次のアクションへの牽制にもなる」 「なるほどねぇ。まぁ人道的な視点を一切無視すればそれが一番いいんだよね」 ベッドに腰かけたヒロが呆れ気味に言うように、俺のプランはそこの辺りを一切抜いている。 てゆうか、そこを考えたら次に対処出来ない可能性があるんだよ。普通ならともかく、今は普通じゃない。 「そうだな。だがハッキリ言うと、正直対策メンバーに人道的観点も含めて動く余裕はないと思う。 後々の事を考えるなら、全員襲撃犯捕縛のために動いた方が得策だろ」 「・・・・・・六課の事だね」 「あぁ」 対策班として設立された八神部隊長率いる六課は、自業自得とは言えもはや開店休業状態。 今回の一件にも前線メンバー総出動と言えど、電撃的な襲撃に対応出来るとは思えない。 なにより六課は地上本部に睨まれてるしな。何かしらの行動の制限を受ける可能性がある。 正直俺は、六課を今回の一件で戦力としてアテにする事は無駄だとさえ思っている。 てーか間違いだろ。公僕ってのはさっきも言ったように画一化された集団による数の暴力が基本戦術なんだしよ。 それを縄張り争いとかエリート意識とか、そういうので取れなくなっている時点でアウトだ。 この組織は既に警備組織として破錠をきたしている。それもリインちゃんの言う通りぶっ潰れた方マシなレベルでだ。 「ヒロ、周りがどうなろうと今回は賊に集中しろ。 俺らも六課と同じくだ。もはや『守りながら戦う』なんて余裕はない」 「分かってるよ。てーか、手早く始末つけていけば結果的にはなんとかなるはずだもの」 「分かってるならいい」 さて、俺の方でもちょっと準備しとくか。いや、マジで今回は気合い入れないとマズいしな。 やっさんにも秘密回線で連絡してそこの辺りも説明しておいたし、あとは本番を待つだけだ。 ≪・・・・・でもよ、姉御≫ 「なにさ」 ≪あのツンデレガールに、六課の現状とか話さなくていいのか?≫ アメイジアの言葉に、俺とヒロは顔を見合わせて二人揃って唸ってしまう。 ・・・・・・そう、そうなんだよ。懸念事項はもう一つある。それはティアナちゃんの事だ。 ≪遅かれ早かれバレるぜ? てーか、もしこれで六課陣営に何かあったら、そこでアウトだ≫ ≪騎士カリムのお話では、この1ヶ月でもう再起不可能というレベルになっているようですしね≫ ティアナちゃんは今なお、六課という部隊が既に空中分解している事を知らない。 まずティアナちゃんが抜けた事が原因で、部隊内に不協和音が起きた。 そして諸事情込みだけど、円滑な事件捜査のためにハラオウン執務官は六課を出ていった。 それから8話から今までに至るまでの台風続きだ。その上六課にスパイの類が居る可能性まである。 結果、六課はチームワークもなにもあったもんじゃないブラック企業に落ちてしまった。 「サリ、やっぱりこのまま六課に戻すのって」 「ダメに決まってんだろ」 さて、ここで問題だ。そんな中にティアナちゃんを戻す事は出来るか。答えは否だ。 下手したらそこからティアナちゃんを対象とした、六課部隊員による公開処刑が起こる可能性がある。 「もちろん元をただせば隊長陣の馴れ合いと怠慢、そして驕りが原因だ。 だが、ティアナちゃんが飛び出した事が崩壊のキッカケにはなってる」 「そこから人間関係が悪くなっていって・・・・・・だもんね。戻ったら魔女裁判になるかも知れないと」 「なるだろうな。特に隊長陣からも離脱者が出てるから、そのファンとかは当然ティアナちゃんに良い感情を持たないだろ」 騎士カリムの話だと、そこの辺りも部隊が修復不可能な状態に追い込まれた原因らしい。 また面倒な。連中自分達の仕事が何か忘れてるんじゃないのか? ≪一般部隊は予言の事を知りませんし、ハラオウン執務官の出奔が致し方ないというのも理解しがたいのでしょう。 ・・・・・・高名で名がいい具合に売れているというのも、時には弊害ですね。これが蒼凪氏辺りなら、問題ないのでしょうけど≫ 「そういうのはむしろやっさんの専門だしね。みんなきっと『アイツなら仕方ない』で納得するって」 つまりだ、やっさんがティアナちゃんに当初『こうなるように頑張ってみる』と約束した事は・・・・・・不可能になってるんだよ。 ただ、ここはやっさんを責められない。てーか、アイツマジで巻き込まれて世話焼いただけだぞ? なによりやっさんがティアナちゃんを預かってからたった2週間で、状況が動き過ぎた。そしてこのひと月でも動き過ぎた。 俺からすると、空気を悪くしてる部隊員達だって局の怠慢の被害者になるぞ。 だってみんなしてこんなワケの分からない事に振り回されて、身内と因縁つけ合ってやり合ってるわけだしさ。 「やっさん、聞いたら落ち込むだろうね」 「だろうな。てーか、落ち込んでた」 「そっか。・・・・・・え、アンタ話したのっ!?」 「メールでだが、一応伝えておいた。ただ、失踪前にここは予測してたらしい。 だから落ち込むというよりは『やっぱりかぁ』という感じだったが」 「相変わらず色々と勘のいい子だよ。あー、でもマジどうしよう。 このまんまじゃ1分後にバレたっておかしくないしー!!」 ティアナちゃん・・・・・・あぁ悩むな。こういうのは引きずると、かえって悪くなるって知ってるのに。 だけど伝えにくいんだ。今進んでる手応えを得られて、目を輝かせてるあの子を見てると、どうしても伝えにくい。 ・・・・・・祭りの時は、もうすぐ。その中で俺らはそれぞれにケンカをする覚悟を決める。 というか、これは収拾をつけられるんだろうか。何気に無理っぽくはありそうなんだが。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 良太郎さんの孫とそのパートナーを未来に送って、ジークさんも帰してあげて僕達はようやく一息。 いやしかし・・・・・・うん、なんかリフレッシュ出来たかも。やっぱ冒険って楽しい。 新しい内装になったデンライナーの席の一つに座りながら、僕は天井を見上げながらウキウキ顔。 「・・・・・・恭文君、ごめんね。その、失踪途中なのに色々迷惑かけちゃって。というか、シオンちゃん達も」 そう言うのは、向かい側に座っている良太郎さん。少し髪型を変えたのか、髪を真ん中分けにしてる。 なので、僕とシオン達は首を横に振って『大丈夫』と応える。 「大丈夫ですよ。うん、おかげで冒険出来ましたし。ね、シオン、ヒカリ」 「えぇ。というより、野上さんの危機ならば私達が動かない理由はありませんでしたし」 「そういう事だな。良太郎、気にするな。私も何気に色んなところにいけて楽しかった」 「まぁ、そう言ってくれるとその・・・・・・嬉しいけど、やっぱり申し訳なかったり」 こういう謙虚なところが、良太郎さんのいいところだよ。だからついニコニコしてしまう。 どっかのバカ共みたいに『助けて当然』みたいな顔しないし。 「・・・・・・で」 僕は右側に視線を向けた。するとなぜかそこには、のんびりと紅茶を飲んでいる四人が居る。 「なんでおのれらまだ居るのよ。ほら、とっとと一緒に帰れ」 「じいちゃんなんかひどくねっ!? せっかく助けに来たってのにっ!!」 「そうですよっ!! ・・・・・・あ、良太郎さんの事じゃなくて、恭文おじいさんの事です」 ・・・・・・・・・・・・言ってる意味が、よく分からなかった。 あ、そうかそうか。もし僕に今度何かあったらって事だね。うん、納得だわ。 「ううん、今助ける」 「え? あの、良太郎さん。なんでそこで乗っかっちゃうんですか。おかしいでしょ。なにより地の文を読んじゃだめだから」 「だって今、ちょっと困った事になってるんだよね? だから・・・・・・僕達に出来る事何かないかな」 「えぇっ!?」 あー、なんか目がやる気出してるー! というか、僕の現状とか話さなきゃよかったー!! というか、良太郎さんがミッド・・・・・・ダメっ! それは絶対にダメっ!! 「ダメですよっ! 良太郎さん、僕達の世界の方だと認知度高めなヒーローなんですよっ!?」 ≪そうなのそうなのっ! それでうろついたりしたら、大問題なのっ!! 電王が実在してるってバレちゃうのっ!!≫ 「でも、助けられ放しは悪いよ。魔導師と戦ったりは無理でも、力にはなりたいんだ」 「いや、だけど」 「大丈夫だってー! そんなの、僕がやっつけちゃうしー!!」 きゃー! なんかリュウタまで食いついてきたし・・・・・・って、みんな来たっ!? 「・・・・・・あー、それとリュウタ、やっつけたらダメだから。やっつけるのは、そのスカリエッティの仲間の方」 「へ、なんだっていいさ。・・・・・・おい青坊主、俺達にも例のスカポンタンをやっつけるの手伝わせろ。俺はまだ暴れ足りねぇんだよ」 「デカいケンカになるんやろ? それやったら、俺の出番やろ。どーんと任せんかい」 「だからみんな落ち着いてー! さすがに事件介入は問題だからー!! そうですよね、オーナー! 電王がミッドに乗り込んだら色々と問題ありますよねっ!!」 食堂車の奥で座っているオーナーは、チャーハンを食べる手を止めて僕を見る。そして、笑いながら首を右に傾げる。 だから僕も同じように傾げた。それから首を真っ直ぐにして、またチャーハンを食べる。 「・・・・・・私は一向に構いませんよ?」 きゃー! なんかオーナーがナチュラルに認めてるー!! それで三人が振り返って、自分の後ろに居るオーナーの方を見る。 「ただし・・・・・・良太郎くんとモモタロス君達はここに居残りですね」 「えぇっ!? ・・・・・・って、やっぱりですよね」 「えぇ。恭文くんが今言ったように、彼の世界と時間の中では君達は有名人ですから」 それからチャーハンを一口。しっかりと咀嚼して飲み込んでから、良太郎さんの方を見る。 「なのでここはまず恭太郎くん達に任せてください。それでだめなら・・・・・・構いませんがね」 「・・・・・・オーナー」 「もちろん絶対に電王として事件に介入しない事。もっと言うと変身しない事。 あくまでも君達一個人として関わるように。・・・・・・いいですね?」 「あの、ありがとうございます」 「おっしゃっ! オーナーのおっさん、話分かるじゃねぇかっ!!」 うん、分かり過ぎて怖いよっ!? てゆうか、マジでなんか怖くなってくるんですけどっ!! 「あの、オーナー・・・・・・いいんですか? これ、イマジン絡みでもありませんし」 それで僕と同じ事を考えていた人が居た。それはみなさまご存知、デンライナーの良心であるハナさん。 そんなハナさんは良心であるが故に、怪訝そうな顔でオーナーと僕を見比べている。 「えぇ。恭文くんは、これまでにも何度か時の運行を守る手助けをしてくれましたから。 良太郎くん達がどうしてもと言うのなら・・・・・・少しくらいは大目に見ましょう。なにより」 「なにより?」 「万が一にも彼の時間がこの一件によって壊れた場合、恭太郎くんや幸太郎くんがどうなるか分かりませんし」 オーナーがいつもの口調でそう言うと、食堂車の空気が固まった。 「まぁ、あくまでも可能性の話ですよ? えぇ、可能性です」 そう言ったオーナーの顔を見てから、ハナさんが僕の方を見る。 その表情に諦めの色が見えたのは、気のせいじゃない。 「恭文君、諦めた方がいいと思うわよ? これじゃあ私が何言っても意味ないし」 「そうですねー。ここは覚悟を決めて、良太郎ちゃん達と一緒にひとつ暴れるしかないかと。 それにほら。ここで頑張らないと、恭太郎ちゃん達ともずーっと先で会えなくなるかも知れないし」 「そんなー! ハナさんにナオミさんまでー!!」 「・・・・・・恭文君」 良太郎さんが、静かに僕の方を見ながら声をかけてきた。だから僕は、改めて良太郎さんの方へ向き直る。 「さっき、シオンちゃんが言ってた事は僕達にも言える事だから」 「へ?」 「僕達も同じ。君に何かあるなら、絶対に助けたい。 さっきも言ったけど、助けられ放しは嫌だから。だから僕だけじゃなくて」 良太郎さんは左側を向く。すると・・・・・・胸を張っている八人が居た。 それでみんな、視線で言って来てる。『つべこべ言わずに頼ってればいい』って。 「モモタロス達も・・・・・・こう言ってるんだと思う」 それから良太郎さんは、また僕の方を見る。その目や表情は、なぜだか穏やかに笑ってた。 「でも電王に変身はダメみたいだし、恭太郎達に任せて後ろから応援で・・・・・・出来る事なんてちょっとだろうけど・・・・・・どうかな」 ・・・・・・僕はテーブルの上でくつろいでいたシオン達を見る。二人は、僕を見上げながら頷いた。 だから僕は瞳を閉じて、少し考えた上で目を見開く。それからお辞儀する。 「良太郎さん、みんな・・・・・・お願いします。僕達に力を貸してください」 「あ、あの・・・・・・頭下げるとか無しだよ。僕達、そういうつもりで言ったんじゃないし。ね、みんな」 「そうだよー。恭文、そういうの無し無し。僕達友達でしょ? だったら、僕頑張るよー」 「・・・・・・うん。良太郎さん、みんな・・・・・・ホントにありがと」 ・・・・・・大事な友達や仲間に背中を押してもらって、僕達は再びミッドに向かう事になった。なんだろ、嬉しい。 それに心強い。昨日まで感じてた色々な危機感なんて、軽く吹き飛んじゃってるよ。 「・・・・・・ねーねー、ヴィヴィオはー? ヴィヴィオもミッドに戻るならなのはママー」 『あ』 ヤバい、盛り上がってヴィヴィオの事すっかり・・・・・・てゆうかヴィヴィオ、強くなったなぁ。 なんかもう、最初に会った時の甘えん坊な印象がすっかり消えたし。いや、良い事だよ。 「えっと・・・・・・ヴィヴィオちゃんは僕や良太郎達とお留守番かな? ほら、君だって色々立場微妙だし、君を狙ってる悪い釣り人が糸垂らしちゃってるし」 「そやなぁ。ヴィヴィオ、ここは俺らと一緒に恭文達の応援しとこか」 キンタロスさんはそう言いながら、組んでいた両腕を外して右腕でツッパリをする。 「こう、ドーンとな」 「ドーン?」 ヴィヴィオがそれを真似るように、キンタロスさんの方を見ながら右手でツッパリを打ち込んだ。 「いやいや、ちゃうちゃうっ!! もっと勢い良く」 キンタロスさんは今度は左腕を、さっきよりも勢い良く突き出した。 「・・・・・・ドーンとやっ!!」 「ドーンっ!!」 それで二人とも、その場でひたすらに両手で交互にツッパリ・・・・・・人生楽しんでるなぁ。 「おい、青坊主。ありゃ止めた方がいいぜ? オビビが熊公みたいに寝てばっかのバカになっちまう」 「大丈夫だよー。熊ちゃんはモモタロスよりバカじゃないしー」 「あぁ、それもそうだな。俺より・・・・・・っておい小僧っ! そりゃどういう意味だっ!!」 「言葉通りの意味じゃないの? というか、僕としては金ちゃんより先輩の単細胞の影響を受ける方が怖いなぁ」 「亀、テメェもうっせぇんだよっ! てーか俺は・・・・・・アレだっ!! めちゃくちゃ・・・・・・・知性派なんでございます事でよろしくてよ?」 それを聞いて、全員が静かに自分達の指定席に戻ってコーヒーを飲み始めたのは言うまでもないだろう。 モモタロスさんがちょっと置いてけぼりで寂しそうだったけど・・・・・・これはしょうがない。これはしょうがないのよ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 結局僕は、後々恭文やヒロリス達に叩き潰されてもいいフラグを立てまくった。 あれからあむちゃんだけでなく、ガーディアンのみんなにまでお願いされて・・・・・・あはは、ごめん。 僕は現在、本局にガーディアンのみんなを引き連れて来た。 そしてそんな僕を見て、顔馴染みの転送ポートの受付のお姉さんが意地悪げに微笑む。 「・・・・・・アコース査察官、守備範囲広いですねー。この子達、まだ中学生くらいなのに」 「いや、まぁ・・・・・・色々諸事情込みでね」 「諸事情・・・・・・あぁ、社会科見学とかですか? もしかして聖王教会関連とか」 「NO」 そして黒い丸型のサングラスをかけていたりまちゃんが、それを右手で外しつつ受付の子を見上げる。 不敵な表情を浮かべつつ、なぜだか英語でそのまま言い切った。 「Combat」 『もしもしっ!? いきなり何やってるっ!!』 「パトレイバーとは・・・・・・君、また渋いネタを持ち出してくるねー」 「あら、分かるの」 いや、あの・・・・・・君達っ!? どうしてそこ通じ合ってるのかなっ! 僕達置いてけぼりなんだけどっ!! 「分かる分かる。それ、劇場版の第一作目でしょ? 私もあの映画好きでね、もう20回くらい見たし、ブルーレイも予約したし」 「・・・・・・予想外だわ。次元世界でこのネタが分かる人に恭文以外で会えるなんて。なお、私も好き。 大事な友達に見せられて、そこから一気にハマっちゃったの。面白いわよね、パトレイバー」 そこから一気に受付のお姉さんとりまちゃんとの談義が・・・・・・てゆうか、だめ。 僕もそれなりにアニメ関係は強い方だと思うけど、そこは知らなかった。パトレイバーってなに? 「・・・・・・これ、どうしようか」 「とりあえず止まるまで待つしかないんじゃ。りま、こうなったらあたし達で止めるの無理っぽいし。 ・・・・・・それでヴェロッサさん、その陳述会って言うの、明日でしたよね」 「そうだよ。君達を中に入れる手はずももう整えてるから」 というか、『整えさせられた』と言った方が正解かも知れない。なお、そこの辺りはクロノに手伝ってもらった。 ・・・・・・かなり止められたよ。クロノもみんなと話したけど、あの状態のあむちゃん×8を止める力なんて誰にもあるわけないし。 「それで当日は僕も『上司』という事で一緒に行く。・・・・・・でも、指示には従ってもらうよ? まぁそこの辺りは唯世君達のイースターとの戦いで培われた判断力を信用してはいるけど」 「分かっています。そこの辺りも昨日まで僕達でかなり協議しましたから。 だけど、もうすぐなんですよね。もうすぐ・・・・・・何かが起こるかも知れない」 「そうだね。ただ、出来れば起こらないで欲しいとは思ってる。だって、そっちの方が楽じゃない?」 特にはやてがね。はやて、本当に最近やけっぱちになってるから。 この調子で六課人員に死者が出たりしたら、どこかのコマンドーみたいになりそうで怖いよ。 (第12話へ続く) [*前へ][次へ#] [戻る] |