天神
城外
城外では「盗賊ミレース率いる盗賊武装集団」、「レイチェルの故郷ロットからの魔術兵士」、「勇者の末裔の住う小国からの師団隊」、「ソグレス、チュース等が所属していた兵士団」、「バリガルへ立ち向かうレジスタンス」からの6師団がグレイニーズ兵士団に戦いを挑んでいた。
グレイニーズ兵士団は数でさえ圧倒していたが、様々に異なる能力を持った団体の変則的な攻撃に手を煩わせていた。更に門内から現れたチュースの姿を見て、肝を冷やした。
「ば、馬鹿な。 あ、あのチェーン様が討ち取られたと言うのか」
チュースの片手にはチェーンの頭が握られていた。
「ちっ、死んでしまえば、竜じゃなくなるのか」
面白く無さそうにチュースはチェーンの頭をグレイニーズ兵士団に向かって投げ付けた。
「お、お前ら何をやっとるか。 相手はチェーン様を相手にして満身創痍なるぞ。 さぁ、名をあげよ。 チュースを討ち取れ」
「お、おおおおお」
時の声をあげた兵士達はチュースに突攻をかけた。
「へ、面白い。 一対百か。 やってやる」
チュースは先程の竜王との戦いで身体のあちこちに傷を作っていたが、軽々と大剣を手に取り、次々に襲いかかって来る兵士達を紙屑の様に切り刻んだ。
「つ、強よ過ぎる」
「こんな物かよ」
「な、何をやっておるか。 死を恐れるな。 向かえ向かえ。 敵に背を見せ逃げ出すとは王に謀反を働いたと同義なるぞ」
チュースの圧倒的な力に士気を削られた兵士達だが、この場で逃げても謀反者と成り果てるだけ。捨て身でチュースに向かって行く。しかし、やはり、チュースの大剣に斬り払われる。指揮官へ確実に近付いて行くチュース。
あまりのむちゃくちゃぶりに戦意喪失した兵士達は逃げ惑い、チュースに道を譲る。
「よう、師団長さん、死ぬ覚悟は出来ているか」
「か、か、勘弁してくれ。 私には、か、家族がいるのだ」
「ほう、それは戦場に居る誰もが皆、覚悟の上。 指揮官自ら命乞いとは笑止だな。 実力が己等と明らかに違う場合は、まして手下の命を守る事を最優先するってのがまともだろが」
「す、すみません、どうか命は」
「戯言、ここは戦場、中途半端な意思を持った奴が来る所じゃない」
指揮官はチュースにそう説かれると一刀両断された。
「つまんねぇ。 やっぱり、俺と真面に組める奴はいないのかよ」
チュースの周りからは兵士達は既に消え去っていた。
城の方から暗雲が立ち込めて来るのを見て、チュースはマーダ達の安否を願った。
「マーダ様、ご無事で」
荒野を茜色に染めていた太陽は沈みかけていた。
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