Destiny〜if〜 11 困惑気味に話すルナマリアと憤然とした様子のシンを見てなるほどと思う。 経験の差からくる違いだろうこれは。 あの人−…アスラン・ザラ…−は知っているんだ。 直接手を下せないもどかしさを。直接守れない歯痒さを。 怒りや悲しみや感情だけで状況を動かす危険を。 「解らないよ、あの人なんて!!オーブにいたくせにっ!!そんな奴に……っ」 「独りよがりな正義は悪に等しい」 「「え?」」 唐突なフレイの言葉に二人は首を傾げて見返した。 「昔ね、ある人が言っていたの」 リナ・カリュンフェイの言葉だ。かつて、ザフトの紅の軍医と言われたその人。理想に戦い。その中で婚約者だった人を些細なミスで仲間によって失った。 そのリナ・カリュンフェイは言ったのだ。 感情に任せて唄う正義はただの暴力に等しいと。 自分の中にあった過去の感情に照らし合わせて泣きたくなったことを覚えてる。 父を失った直後の感情を正義だと信じて疑わなかった自分。 「力があるから判断は慎重にって言いたかったんじゃないのかしら?」 「なんだよ、それ」 二人は困惑気味にフレイを見る。シンはあからさまに怒っている。 [前へ][次へ] [戻る] |