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Destiny〜if〜
2
『ローズ・クレスト』こと、フレイ・アルスターが最初に見たのは白い天井だった。
「私…?」

ぼんやりと霞がかった頭の中をいくつかの情景がぐるぐると駆け巡った。
怒号、銃声、そして
「キラ…」
一番強く、でも、夢のようにはかない記憶。
物凄い熱を感じて躰が軽くなったと思ったら、キラが泣いていた。なにも邪魔するものが無くて、だから素直に言葉が溢れてきた。
『だから泣かないで』
『チキショー僕は…!』
苦しまないで…
『あなたはもう、泣かないで』
苦しめてばかりだったけど、本当はそんな事をしたかったわけじゃない。
『きみに何も…!』
あなたは、私を守ってくれた。だから今度は
『守るから。本当の私の思いが、あなたを守るから』
それは、自然に沸き上がってきた想いで、このまま消えてなくなってもいいとさえ思えた。
「ぁ…‥」
頭がぐらぐらする。悲しみや後悔、名前も知らない感情が沸き上がってきて、天井が歪んだ。そのとき始めて躰の痛みに気付いたけど、私は、泣くことしかできなかった。


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あきゅろす。
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