Destiny〜if〜 何気ない日常に2 エナが心を開くきっかけになったのは、ローズの手足に残る火傷の跡。 「痛くないの?」 痛々しい跡にエナは触れて尋ねた。ローズは、目を伏せてそっと胸を押さえた。 「痛むこともあるわ。でも、私が生きていた証だから」 独白に近いローズのことばをエナはおぼろげながらに理解する。エナは聡い子だった。不自由な体であるが故に、哀しいくらい聡い子だった。自身の状況も、ローズが偽名であることも何となく理解してしまうほどに。わずか五歳だというのにひどく切ない顔で呟いた。 「私にも、欲しいな…」 ローズ ― 否 ―…フレイはエナの髪を撫で 「私が、なってあげるわよ」 自分が言われて嬉しかった言葉をそのまま話したのだった。 [前へ][次へ] [戻る] |