SCROMBLE
これだからモテる奴は・・・
男に『可愛い』などと言われても、気持ちが悪いだけだ。虫唾が走る。
手島は、俺が怒っているにも関わらず、未だに笑っていた。
「俺、そういう馬鹿な子好きなんだよね。」
手島は、クスッと笑いながら横目で俺を見てそう言った。
その笑いが意図するものは、俺の想像とは違っていた。
「はぁ?なん・・・」
「彼女いないんでしょ?だったらさ・・・」
背筋が凍りついていくのが分かった。
手島が次に何を言うのか分かってしまったからだ。
「俺と付き合ってよ。」
見事予想が的中し、俺の頭の中は真っ白になった。
「は、はぁ?冗談よせよ・・・。お前、頭可笑しいんじゃねぇの?」
動揺しているのか、俺の声は震えていた。
「君が言ったんだろ、『彼女作れ』って。」
「それに、君は『彼女が欲しい』んだろ?一石二鳥じゃないか。」
何が一石二鳥だ。確かに、俺は『彼女が欲しい』し、『彼女を作れ』とも言った。
だが、相手が男とあらば話は別だ。
男同士で『彼女』って・・・、本当に頭が可笑しいんじゃないだろうか。
「だからって、何で俺が『男』のお前と付き合わなきゃなんねぇんだよ!」
「モテるくせに、男にまで手ぇ出すのか?このホモ野郎!!」
「『野郎』じゃなかったら『ホモ』じゃないよね。」
黙って聞いていたかと思えば、どうでもいい揚げ足を取られた。
否定しないところ見ると、どうやら本気らしい。
「(ムカツク・・・)マジでホモかよ・・・。そりゃ彼女作らねーわけだ。」
俺は思わず納得してしまった。
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