君に触れる(跡部)
「…………」
すーすー……。
生徒会が終わって教室に戻れば、小さな寝息を立てながら机につっぷしてるなまえの姿。
「起きろなまえ」
声を掛けるが起きる気配は全くない。口からはよだれ。女らしさの欠片もねぇな…。
「ちっ……、なんで俺様がコイツを起こさなきゃなんねーんだ?」
肩を揺すろうとして、露になったうなじに目がいった。
「…………」
なまえを起こそうと伸ばした指が自然とうなじに伸びた。
触れるか触れないかの間で声を上げる。
「……起きろ、なまえ」
「……ん、あ、けぇご?生徒会終わったのぉ?」
まだ寝ぼけてんのか口拙い。俺は何事もなかったかのように鞄に手をかけた。
「あぁ、帰るぞ」
なまえに出会うまで、好きな奴に触れるのがこんなに緊張するなんて知らなかった。
俺らしくない。
いつもなら繋がねぇ手を繋いでやる。
変な顔してなまえが俺を見上げた。
「景吾?なんか今日は積極的だね……」
「アーン?いけねえのか?」
「ううん!いけないことないよ!!景吾に触れられるの大好きだもんっ」
嬉しいこと言ってくれるじゃねーの?
「なんならもっと触ってやろうか?すみずみまでなぁ」
そう囁けば真っ赤になる。
「っっ耳元は反則!エロい!」
「ククク、冗談だ」
お前は知らねぇだろうよ。
俺がお前に触れるのにどれだけ気を遣っているか。
悪くはねぇけどな……。
触れたいと思うのはなまえ、お前だけだぜ?
君に触れる
一度触れたら二度と離せなくなる
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