[携帯モード] [URL送信]

EVERY DAY
09

「みずほ、それだと指、切り落とすよ……。」


雅哉が声を張り上げたのはみずほがとんでもない包丁の使い方をしていたからだった。


「あ、ごめん…。」
みずほは今現在も包丁が自分の指に向けられているにも関わらずきょとんとしている。


「ううん、俺こそびっくりさせてごめん。」
雅哉は申し訳なさそうにみずほを見ると恵里の方にも目をやる。

恵里はほっと胸をなで下ろすと小さな鍋に水を入れた。


「俺、手本見せるから。やってみて。」

雅哉は、みずほが切ろうとしていたジャガイモを取り、みずほにアドバイスをする。
そこでみずほの携帯が鳴った。

「あ、多分さっちゃんだ!」
みずほは雅哉に向かってごめん!と手を合わせると携帯の方まで行き、電話を取ると台所から出ていった。

「もしもし、さっちゃん?」
みずほの話す声が聞こえてくる。


「ほんと、手際いーんだね、意外。」
ジャガイモ以外の野菜、ニンジンやタマネギを素早く切っていく雅哉を見て、恵里が呟く。

「意外?」

「うん。なんかみずほの方が料理できそーなのに。
料理が上手いっていうのはみずほから聞いてたけど、こんなにスムーズにできるとは思わなかった。」


「みずほが言ってたの?」

「うん。」

「ほ、他にも俺のこと何か言ってなかった?」

雅哉が頬を染め、緊張した面もちで恵里に聞く。


「言ってたよ。」

「何って!?」

「タラシって。」

「……………。」

雅哉はそれがショックだったようで、唖然としている。

そんな雅哉を見て、恵里がくすりと笑う。

「雅哉君って…………好きなの?」

恵里はその名前は挙げずに、離れたところで電話するみずほを指さす。
みずほはこちらに背を向けており、早妃との電話に夢中で二人の会話には全く気づいていない。




[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!