93゚
(02)
「んっ……」
目を開けるとばあちゃんと一緒に寝てた布団の中で眠っていた。
……頬が濡れてる。そうか…泣いてたのか。にしてもリアルだったなぁ…覚醒のしない頭でボーッと考える。
ばあちゃんは最後まで笑顔だった。泣いてばっかの俺を安心させようと、苦しいはずなのに笑っていた。
はぁぁ…歌おう…。小さく呟いて瞼を閉じる。俺はあの日を境に、毎日歌を歌うようになった。ばあちゃんが鼻歌で歌ってくれていた歌
「 」
歌い終わったあとは、いつものように家に鍵をかけ外に出る。このとき大切なものを失う事になるなんて、まだ思いもしなかった。ごめんな、ばあちゃん。
いつものようにばあちゃんの形見のヘアゴムを手首に通し、ネックレスを首にかけた。財布と携帯を持って家に鍵をかける。
いつものコンビニでおにぎり、お茶、ばぁちゃんの好きなまんじゅうを購入。携帯を開き時間を見ると、11時45分を表示していた。
「やばいっ!!!」
12時にはばあちゃんに線香をあげる時間。急いで帰って鍵穴に鍵を差し込む…が、
…………?俺、家に鍵かけたよな?なんで開いてるんだ?1つ恐ろしい事が頭を掠める。
まさかっ……!!
ドアを開けて居間に着くと
……中はぐちゃぐちゃだった。嘘………だろ?
ふと足元を見ると俺とばあちゃんが笑顔で写っている、写真たてが落ちていた。拾い上げ、表面をみるとガラスが割れてばあちゃんの顔が分からなくなっていた。
ここで初めて荒らされた…と思った。
「……………あっ!!!」
ある事に気付き寝室に行き、ベッドに隠して置いた貯金張とアルバムが入ってある箱の中を見た。
「……よ…良かった……うっばあ……ちゃん…ごめんな」
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