王者立海生の日常 甘いくらいに よもぎが大きななみだの粒を溢しながら、海堂を見上げる 海堂はすまなそうに眉を垂れさせてよもぎを見ていた 「い、言い方が悪かった…すまねぇ………」 海堂の謝罪の言葉に、よもぎはゆっくりとかぶりをふる 「海堂くんはわるくないよ…確かにその通りだもん」 「違っ……だ、だから………………いや、別にお前は何も間違ったこと言ってるわけじゃねぇっ」 海堂はよもぎの肩に両手を乗せてよもぎの顔を覗き込んだ 「ただ…お前と切原じゃ、大事なもんが違ったんだ だから意見が食い違って、喧嘩したんだよ お前はあいつらと同じように部として勝利を望めなくて…でも、 お前は………それよりも、あいつらの身体や、心が大事だったんだよな?」 「!」 よもぎは驚いたように目を見開いて、そしてゆっくりと海堂に頷いてみせた 「あいつらがテニスして怪我して心配して…… あいつらが常勝を掲げてることで、……非情なまでのプレイをすることで、心まで傷ついてんじゃねーかって、また心配してただけなんだよな」 「……………っ、うん…うん……………………っ」 よもぎは、また大粒のなみだを流して何度も何度も頷いた [*前へ][次へ#] [戻る] |