悪魔も喘ぐ夜
*
「さっきまで恥ずかしいって言ってたの
に…」
思わずため息がもれる。
「むぅ…。
お兄ちゃんはぼくのことキライ?」
拗ねた麗が頬を膨らませて俺を見上げて
くる。
「好きだよ、“弟として”」
「ぼくはお兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなく
ても好きっ」
ぎゅううっ
「そういう問題じゃ…」
ない。
力が抜けて最後まで声にならない。
「なぁ、麗…。
これから先、麗は色んな人と出会うだろ
う。
いろんな所で、いろんな人に。
その中で誰かを好きになったり、好意を
もたれたりもするだろう」
「でも一番はお兄ちゃんだもん!」
言葉を先回りする麗にはもう肩をすくめ
るしかない。
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