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柔らかな束縛
実家から写メール。

「絹華見てーママから届いたの」


上機嫌でこちらに携帯の画面を向けてみせる廻。
そこには、大牟田家で暮らす彼女の愛猫がすました顔で写っていた。

廻はその愛らしい姿に頬を緩めた私の横へ移動すると、寄り添いながらメールの文章を読み上げ始める。


「“シエルは元気ですがやっぱり寂しそうです”」
「大好きな廻がいないものね」


私は何度か廻の実家にお邪魔したことがあり、シエルという名の美しい毛並みを持つ雌猫とも面識がある。
シエルは廻にべったりで、始終彼女の膝の上で喉を鳴らして甘えている。
ひとたび廻が立ち上がろうものなら、律儀にもその後ろをついて行く、そんな猫だった。


「“でも、廻に送るよと言ったらちゃんとキメ顔で写ってくれました”だって!」
「ふふ、可愛いわシエルったら」


顔立ちからして賢そうな猫だ。廻、という単語にまで反応を示したとしてもおかしくはない。
廻自身もシエルを非常に可愛がっている分、心底嬉しそうな顔で画像を眺めている。


「絹華絹華、二人の写メ送ろう」


思い付いたようにカメラモードを起動した廻に微笑んで頷けば、寄せられるのは柔らかい頬。
私と色違いの携帯電話が赤いランプを点灯させたのと同時、部屋にはシャッター音が響いた。




数分後、テンポのいい着信音にすぐさま携帯を開いた廻は、メールを読んだ傍からふふ、と笑みを漏らした。
首を傾げた私に、廻は何も言わずに開いたままのメール画面を差し出す。

促されるままにそれを読んだ私も、廻と同じく思わず笑ってしまった。




FROM:ママ
件名:仲良しね☆
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ありがとう!ママは二人の写メすごく嬉しかったんだけど、シエルは何だか不満そうです(><;)
シエル、絹華ちゃんに嫉妬しちゃったみたいね(笑)





お家ではアナタに特等席を譲ってあげてるんだから、これくらいは文句無いでしょう?
今アナタの愛しいご主人様は、私にすり寄って笑っているわ。諦めなさい、可愛いシエル。








※絹華様の嫉妬心ハンパねぇ。

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あきゅろす。
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