柔らかな束縛
女子寮のクリスマス。
絹華と二人きりで過ごしたクリスマスイヴ。
ケーキを食べて、プレゼント交換して、日付が変わった瞬間、キスして「メリークリスマス」って笑った。
我ながらベタで甘い、恋人同士のクリスマス。
今夜もこんな感じで、幸せな時間を過ごすはずだった。
それが何故、今こんな状態になっているのでしょうか。
いや何故って原因は、このワタクシにあるのですけど。
「廻?」
「はい…」
「何が言いたいか分かるわよね?」
ボクの周りには、色とりどりのラッピングに包まれたプレゼントの数々。
今日…いわゆるクリスマス当日、友達だけでなく先輩後輩問わず色々な人達から頂いたものだ。
調子に乗ってました。
親類や両親の会社関係者以外からクリスマスにこんなに沢山プレゼント貰ったことなんて初めてなので相当調子乗ってました。
所詮“バレー部のエースセッター”というネームバリューのお陰だということは分かってました。
でも嬉しくって調子乗っちゃってました!
「ついこの間言ったわよね?ファンサービスもいい加減になさいと」
「いや、今回はむしろサービスしてくれたのは皆様の方で…」
「口答え?」
「すみませんっ!」
思わず縮こまってしまう。
あぁ駄目、怖い。ものすごく怖い。
どうしてこう、整った顔立ちというのは言いも知れぬ怖さを秘めているのだろう。
「痛…ッ」
「逃げようとするからよ」
彼女を直視出来なくて顔を背けつつ後退りするも、片手で簡単に引き寄せられた。
それもそのはず、ボクの両手は今、固く縛られてしまっている。
ボクがついさっき意気揚々と開封していた後輩からのプレゼント、それをラッピングしていたリボンで!
「クリスマスプレゼントはやっぱり…」
見せつけるようにリボンの端をくいくいと引きながら、ボクの首をそっとなぞる指。
…嫌な予感?勿論しました。
「赤い首輪が良かったかしら」
何て綺麗で、それでいて恐ろしい笑顔!
真っ赤な首輪のセッターさんは
「いつもみんなの笑い者…になっちゃう」
※プレゼントに囲まれるのが楽しくて仕方なかったんだね。お馬鹿な娘!
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