五行歌
「五行歌」とは、
① 俳句のように「季語」は要りません。
② 短歌の「５７５７７」のリズムも要りません。
③ 唯、単に「五行」に作るだけです。
④ １行の文字数も自由です。
⑤ 古文の素養は必要ありません。
徒然
日常の暮らしを五行歌にしました。
人生への想いや母の介護など
主婦としての素顔の泡沫恋歌です。
ネット社会や若者文化など・・・
異世代コミュニケーションを面白可笑しく紹介します。
初稿 趣味人・創作広場 2009年～
南国の友が育てし
ドラゴンフルーツ
名は知れど食したことなく
パソコンの画像眺めて
いかな味かと思い巡らす
執着を失くし
娘の顔も分からず
真っ白な記憶の中
童女のような顔で
優しく笑う母
点滴の針を刺され
ベッドに横たわる母
何も出来ず何も出来ず
ただ名を呼び
掌を強く握る
子供から
教えて貰った
若者言葉
ネットで使って
歳を誤魔化す
トンネル抜けると
目に飛び込んでくる
緑のスクリーン
並んで背比べ
京都・高尾・北山杉
頑張らない
怒らない
そう決めたのに
頑張れない自分を
今日も叱る
小さなプライド守るため
他人と争う
勝っても
負けても
揺らいだのは自信
黙っていれば
分からないことを
つい言ってしまう
正直者というより
ただの能天気
夕涼み
いたずら夜風が
浴衣の裾を捲くり上げ
嬌声のあげる
女の色っぽさ
負け犬だと
嘆く人がいる
あなたの人生は
あなたのオリジナル
さぁ 胸張って！
心の中に
ナイフを隠し持ってる
いつかこれで……
そう誓って
今日の自分を黙らせる
生まれども
誰がためならず
生き恥じて
無様な我が身
消す術も無く
段差でつまづき
よろけたら
弱った足腰に腹を立て
『 バリヤーフリーにせんかい！ 』
思わず口から出た 悪態
娘の頃のアタシ
箸より重い物持てないわ
今じゃあ～
５Kのお米を片手で持つ
見よ！これぞ主婦のパワー
蝉が１匹
外壁に貼りつき
恋の季節を大合唱
蝉なのに五月蝿い！
これが夏って感じ
５時過ぎに
スーパー駆け込み
値引き惣菜
虎視眈々と狙う
わが身の悲しさよ
いつも静かな
都会のオアシスも
木々を求めてやって来た
蝉たちのファンファーレ
短い恋を唄ってる
世界一周 豪邸
外車とブランド品
あぁ 私の夢たち
破り捨てた
サマージャンボ宝くじ
老いた母が
童女の顔で笑ってる
全ての罪を洗い
真っ白な魂になって
やがて天に召される
新婚布団
10年経てば
せんべい布団
愛の記録も
ぺったんこ
屋根裏で見つけて
読み返す古い手紙
夢を熱く語る友よ
あの青春の日々に
タイムスリップ
怒りが有頂天、胃留守……？
意味不な言葉たち
ネットが遊び場
異世代コミュニケーション
母の頭脳も活性化
ベランダに蝉の亡骸
使命終え
短い夏が終わる
紙で拾いて
そっと、土に還す
空にたなびく洗濯もの
日向の匂い吸い込んで
カラリと乾いた
たたむ手で家族を想う
主婦の幸せ
嫁と母と娘
敬老の日の
記念写真
カメラに向かって
満面の笑顔で
過去の因縁
みんな忘れて
心穏やかに
老いたる わが身
息子の嫁に命預け
老いてまだ
心の平穏
ここになく
すがる思いで
投げつけた言葉
荒海渡る 冬燕
吹雪に押し戻され
なおも南を目指す
豊穣の大地
春の輝き
黄金色の絨毯
刈り取れば 古畳の色
よく実ったね 稲穂たち
美味しく炊いて
私が食べてあげよう
何度言ったら分かるのよ
娘に怒られる
パソコンの前では
親の威厳など
塵に等しい
ハックション
風邪ですか？
いいえ 秋花粉
説明してる間にも
鼻水ポトリ……
夕映えに
紅く染まりゆく
葦の原
水鳥たちも
巣に帰る
えっと、あれは……
友達のマンションの
名前忘れ、やっと思い出し
３回唱えて、また忘れる
こんな私、大丈夫？
自分を愛せない
孤独な夜 闇に問う
生きる辛さと
死ぬ時の苦痛
どっちがマシ？
雪景色
空中を舞う一羽の鴉
白と黒のコントラスト
混ざり合えない
孤独な心
あと1ページで
止めるつもりが
一気に最後まで
面白い本との出会いと
睡眠不足の朝
病み上がり
小さくなった夫の顔
回復しつつある身体には
美味いものが薬になると
晩夏に鰻を食す
庭の木に
蝉の抜け殻
軒の風鈴
チリンと鳴けば
鰯雲が季節を告げる
三日月のナイフに
☆が刺さる
漆黒の闇の中で
魔女とカボチャがダンス
Halloween night
孤独は影のように
背中に張り付いている
生きている限り
それを背負って
歩かなければならない
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