最初は背中だった。
(あれ…)
シャワーを浴びているのに、流れる水を感じられない。
(っかしーな…)
そこで、温度を上げてみることにした。
「熱っ」
勢い余って手に流れた衝撃に、慌ててお湯を止める。
(背中だけ、感じない…?)
どういうことだ。そういえば、最近馬鹿に手先と足先が冷たい。
朝日を浴びないと健康に悪いとよく言われるから、きっとその助言を無視した罰なのだろうと思った。それか、俺、なんか変なモン食ったか?
「……思い出せねー」
アルコールに浸された頭では、考える事すら億劫で。
「ま、いっか」
きゅっと蛇口をもう一度締め、感覚障害は睡眠不足のせいだと納得させる。
明日も、仕事がある。
そう思い、早々に風呂場を出ると、今日は朝日を拝む前に寝れるわ等と不健康な事を考えつつ、布団に潜りこんだ。