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“1:○と△は隣り合わせ”

“2:真ん中には☆”

“3:◇は最後ではない”

“4:□の前には何もない”

“5:☆と○は離ればなれ”



5つの出っ張りの根本にそれぞれ書かれた、数字と謎の文章。
対する手元には手の平サイズの玉が一つ
その他に見当たるものと言えば、この世界ではどの部屋の壁にも掛かっている絵画や展示品くらいか。

漠然とやらなければならない事の目星が付くが、もしそうなら駒が足りないという事実に気付いた。

「あと四つ、図形の駒がどこかにあるはず……ってちょっとアンタ、笑いが治まったなら手伝いなさいよ。」

推測で一人駒を探し始めたギャリーは、立ったままのジルベルトに催促をする。
どこまでも協調性に欠けたこの男性は、例によって協力する素振りは見せず、代わりに無言でずっと展示品を睨み付けている。

一体何がそんなに気に食わないのかと視線の先を辿ると、そこには『鉱石と星の煌めき』というタイトルの美術品があった。
横長のガラスケースの中には、どういう技術で作られたのか、宇宙が切り取られてそのまま押し込められたような世界が広がっている。
だが特におかしな所もなく、睨み付ける理由は解らない。

「笑ったり怒ったり忙しいわね。 疲れないの?」

「うるせェ上に余計なお世話だ。 って言うか気づけ。」

はぁ?とギャリーは首を傾げた。 何に気付けと言うのだろうか。
要点を通り越して必要最低限の言葉も抜けているせいで全く話が解らない。 主語とは何だったのか。

「オマエが言ったンだろうが。 図形がどうとかってよ。」



………………………………。

『鉱石と星の煌めき』を二度見する。 確かにそこには☆の姿が在った。

○の玉が普通に転がっていたせいでてっきり他の図形もその辺りに転がっているものだと思い込んでいたのだ。
盲点だったと気付き、ギャリーは髪をぐしゃぐしゃと掻き回した。

「ナルホドね。 アンタ意外に頭の回転良くて助かるわ。 これからもよろしく。」

「調子に乗ンじゃねェよ。」

言いながらガラスケースに手を伸ばすギャリーに素っ気ない態度が返ってくる。
同時にケースの中から☆だけを取り出して蓋を閉める。 これで二つ目だ。

「じゃ、アタシは図形探してくるから謎解きの方お願いね。」

「調子に乗ンなっつっただろ。 めんどくせェ。」

「こんな所早く出たいでしょ? だったら二手に分かれて作業した方が効率がいいじゃない。」





勝った。

正論に反論する余地を与えず、この口論はギャリーが制する。
先程笑われた仕返しではないが、ギャリーはにっこりと微笑むと「頼りにしてるわよ」と言い残して図形探しに取りかかった。

舌打ちの音は聞こえなかった振りをしてあげるわ。





→ 「36」


あきゅろす。
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