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一人で納得したギャリーがパネルにタイトルを入力すると、先ほど完成したスライドパズルが振動し始めた。
何事かと距離を取るとパズル左右が開いていき、開けた中央から下へ降りるための階段が姿を現す。

下へ行けるなら、はぐれてしまったグレーテルを見つけられるかもしれない。

やっと見つけた下階への入り口に喜色を示すと、物言いたげなジルベルトに手招きをする。

「続きは置いといて早く降りましょ。 説明なら歩きながらしてあげるから。」

そう言って先に階段へと姿を消したギャリーの後に、脱力したのか一瞬毒気を抜かれたような顔をしたジルベルトが、溜め息混じりに頭を掻きながら続いた。





コロコロコロ



「………いきなりだけど、あれは何かしら。」

「俺に訊くンじゃねェ、解るかよ。」



階段を下っていくと、小さな玉が丁度足元を転がっていく所だった。

得体の知れない物体である以上関わらないのが一番だが、警戒心の高いギャリーと違って、ジルベルトは気になるものは即調べる性格なのだろう。
躊躇いもなくその玉を拾い上げると、まじまじと四方から眺めて分析しているようだった。

「解ンねェ。」

特に変わった所も無かったのか、興味を失ったようにギャリーへと投げて寄越した。
前振りもなくいきなり飛んできた玉に慌てて手を伸ばすも、間に合わずにギャリーの脇をすり抜けて転がっていく。

「鈍くせェヤツだな。」

「いきなり投げるからでしょ! 誰のせいよ。」

飽きもせず仕様のないやりとりを繰り返しながら、転がっていった玉を追いかける。
失速して止まった玉に追いついたギャリーがそれを拾おうと屈む。と、



ゴンッ



「っ痛ぁ……。 何よコレ、こんな所に出っ張ってんじゃないわよ。」

壁から突き出ている何かに頭をぶつけたらしいギャリーが非難がましく文句を垂れる。
と、後ろから籠った空気が一瞬で吹き出される様な音が聞こえた。

「……アンタ今、笑ったわね。」

「……………………別にィ。」

「何よその妙な間は! 笑いを堪えてるの丸解りじゃない!」

口を押さえてそっぽを向くジルベルトに突っ込みながら勢いよく立ち上がると、今度は頭上を何かにぶつけて再び蹲る。
唸りながら頭を手で押さえて蹲っている青年の姿に、抑えきれなくなったらしい笑い声が低く聞こえてきた。
見ればそっぽを向くだけでなく、もう片方の手で賢明に腹筋を押さえつけている。

「アンタまじで覚えてなさいよ……。」

結構な痛みに涙目になりながら上を向くと、天上からも何かが伸びているのが確認できた。
慎重に立ち上がって壁や天上から伸びている出っ張りを調べてみる。



よく見ると、その出っ張りは全部で5つあるようだった。





→ 「35」


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