辺りを探すも、どこにも白い破片は落ちていなかった。
これではミルクパズルは完成しようがない。
「ごめんなさい……。」
「何でグレーテルが謝るの。 悪いのはどこかに消えたパズルでしょ。」
尚破片を探しながら言うと、靴ごしに何かを踏み付けた感覚を覚えた。
何か踏んじゃったわ、と足を退けて確認すると、それは潰れた苦味の果実だったのだが。
「あら?」
潰れた果実の欠片が一つ、不自然にパズルのピースのような形をしている。
“砕けた赤を、破片を集めた白に捧げよ。”
そういう事かと納得したギャリーは、赤いピースを拾うとグレーテルに渡してやる。
「それが最後の一つね。 ここまで組み立ててくれたのはグレーテルだから、それで完成させちゃいなさい。」
ホラホラ、と後押しされ、グレーテルは赤いピースをミルクパズルの中心にはめた。
するとその中心の赤から種が一つ、にゅっと姿を現した。
「やったわグレーテル! これで謎々も二つ目クリアよ!」
ギャリーは笑顔で目線をグレーテルと同じ高さまで下げると、ハイタッチを求めるように掌を向ける。
意図を察したグレーテルは恥ずかしそうに人形の頭に顔を半分埋めながら、おずおずと自分の掌を重ねた。
照れている少女に微笑みを向けると、元気付けるように声を張り上げる。
「ここまで解ければ後は簡単ね。 さっさと次に行っちゃいましょ。」
「オー!」と右手を上に挙げて立ち上がったギャリーを見て、グレーテルも「おー」と辿々しく真似をした。