“にじいろのななきょうだい”
『そらのうえにすむにじいろのななきょうだいは、まいにちまいにちケンカばかり。
みんながみんな、それぞれが、いちばんキレイなのはじぶんだといってききません。
きょうもまた、ケンカがはじまってしまいます。
ところがきょうのケンカはなにかがへんです。
きょうだいの、いちばんうえの赤いろが、たおれたままうごきません。
赤いろのしたもまっかっか。
おひさまのパパと、あめのママはとてもおこって、にじいろのきょうだいたちをしかりました。
“だれがやったのか、いいなさい”
しかられたにじいろのきょうだいたちは、あちこちをゆびさしてくちぐちにいいました。
「ころんだ赤のあたまを、青がさらにけったんだ。 そしたらあたま、とれちゃった。」
「ろくでなしってさけびながら、緑がいっぱいたたいてたよ。 あたまがとれるまで、ずっとずっとたたいてた。」
「しんだのは黄がおもいきりあたまをなぐったからさ。 あたまがとんじゃったら、しんじゃうよね。」
「たたいたりしただけじゃなくて、藍だけはもっとひどいことをしてた。 だって、あたまをとっちゃったんだもん。」
「のんびりみてた紫が、さいごに赤のあたまをきっちゃったからしんじゃったんだ。 だから、赤いろのしたはまっかっかなんだよ。」
「はんにんは橙だよ。 いちばん赤のこときらいだっていってたもん。 赤いろのあたまなんか、いらないからすてちゃえっていってたし。」
にじいろのきょうだいたちのいっていることがバラバラなので、あめのママはこまってしまいました。
おひさまのパパはまたおこって、“ほんとうのことをいいなさい”としかりました。
「きもちわるい赤いろばかりみせるから、紫がおこって赤にきりかかったんだよ。」
「みにくいやつらっていわれた青がものすごくおこって、赤のあたまをけっとばしたんだ。 うそじゃないよ。」
「いつもえらそうな赤がやられてるのみて、橙がわらってトドメさしてたよね。」
「ろくでなしろくでなしばっかりいいながらふみつけてた緑もうるさかったなぁ。」
「んーと、ぼくがみたとき、あたまをとってたのは藍だったはずだよ。」
「なんでぼくのせいにするの? あたまをとばしたのは黄だったの、みてたでしょ。」
にじいろのきょうだいたちは、またケンカをしてしまいます。
だけどおひさまのパパと、あめのママは、もうにじいろのきょうだいたちをしかりません。
やがてにじいろのきょうだいたちは、みんなたおれてうごかなくなりました。
これでみんな、赤いろとおそろいです。
うごかなくなったにじいろのきょうだいたちは、みんななかよくたおれているので、もうケンカをすることもありません。
おひさまのパパとあめのママは、にじいろのきょうだいたちを、きれいによこにならべました。
こうしてそらには、とてもきれいなにじができたのです。
めでたし めでたし 』