[携帯モード] [URL送信]


もう会えないと分かっていたなら、毎日でも会いに行ったのに。










―足りないひとピース―








今日も俺はここで暇な時間を潰すんだ。

分かってるさ、もうあの頃のアンタはいないんだろう?
六合の言うことに嘘はないとは分かっているから。


「ここに何の用があるっていうんだ」


自分でも馬鹿だとは分かっているさ。こんなの俺らしくもない。


この森と社を隔てた狭間の向こう側からは、あの頃の足音なんて聞こえてこないのだから。


「いい加減出て来たらどうだい」

勿論返事なんてない。本当は気付いてる、


「おい、聞いてるの?」


「返事も出来ないのかい?哀れだね」


「…この俺を待たせるなんて良い根性だね」


「銀朱、」







「……銀朱っ…、!」





俺は一体何をしてるんだ。もう居ないんだって何度言い聞かせたらわかるんだ。
ここで声を枯らせて何になる。

ここに座り込んで誰を待っているんだ。


鳥居にもたれかかって、何を、






「……―銀朱」

せめて、もう一度だけでも……



「会うことは、できないのかい」







ああ、女々しい。こんな俺は格好がつかないね。そう思って、今日は一旦引き返すことにした。

これ以上俺を傷つけたくないなら、早く来い。


「また来てやるよ、明日も明後日も、その次も」



「だから、たのむから」





消えないで。












(俺が泣くまえに、だきしめて)





■□■□■□■□■□■□■

BGMは一青窈のもらい泣き。


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!