もう会えないと分かっていたなら、毎日でも会いに行ったのに。
―足りないひとピース―
今日も俺はここで暇な時間を潰すんだ。
分かってるさ、もうあの頃のアンタはいないんだろう?
六合の言うことに嘘はないとは分かっているから。
「ここに何の用があるっていうんだ」
自分でも馬鹿だとは分かっているさ。こんなの俺らしくもない。
この森と社を隔てた狭間の向こう側からは、あの頃の足音なんて聞こえてこないのだから。
「いい加減出て来たらどうだい」
勿論返事なんてない。本当は気付いてる、
「おい、聞いてるの?」
「返事も出来ないのかい?哀れだね」
「…この俺を待たせるなんて良い根性だね」
「銀朱、」
「……銀朱っ…、!」
俺は一体何をしてるんだ。もう居ないんだって何度言い聞かせたらわかるんだ。
ここで声を枯らせて何になる。
ここに座り込んで誰を待っているんだ。
鳥居にもたれかかって、何を、
「……―銀朱」
せめて、もう一度だけでも……
「会うことは、できないのかい」
ああ、女々しい。こんな俺は格好がつかないね。そう思って、今日は一旦引き返すことにした。
これ以上俺を傷つけたくないなら、早く来い。
「また来てやるよ、明日も明後日も、その次も」
「だから、たのむから」
消えないで。
(俺が泣くまえに、だきしめて)
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BGMは一青窈のもらい泣き。
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