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今にもひと雨来そうな曇天の二時間目。体育は案の定水泳だった。水温が基準以上あるから強行するらしい。さすがにこの空の下で泳ごうという気にはなれない。女子更衣室の中はすでに非難轟々だ。体育委員の山西さんが出欠名簿を持ってオロオロしている。

「山西さーん、あたしんとこ生理って書いといてくれなーい?」

愛海ちゃんが声高に言った。愛海ちゃんは気が強くてお洒落な、クラスのリーダー格だ。愛海ちゃんがそう言うと、女子の三分の一くらいはあたしも、と声を上げた。山西さんは普段はハキハキとした活発な子だけど、みんなの非難を受け止めてか、黙々と名簿に、嘘で塗りかためられた生理の印をつけていった。真一文字に結ばれた唇からは、彼女が何を考えているかなんて分からなかった。

結局クラスのほとんどの女子はみんな見学になった。あたしは古賀ちゃんと協定を結んで、ものすごく憂鬱だけど結局泳ぐことにした。みんながジャージ姿の中自分たちだけが水着を着ているのは、なんだかすごくみじめだ。古賀ちゃんと二人で巻きタオルを肩まで引き上げて、更衣室を出ようとした。

「山西さん、サキもお願い」

あたしは思わず声の方を振り返った。早紀ちゃんは言いづらそうにして、すぐ顔を伏せた。きっと早紀ちゃんはほんとに生理なんだろう。そういえばこないだの体育のときから見学してた。…愛海ちゃんたちもだったけど。古賀ちゃんに急かされて、あたしは更衣室の扉を開け、雲が垂れ込めるプールサイドに踏み出した。





















































あきゅろす。
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