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啓介と早紀ちゃんが別れた。
早口でそう報告する古賀ちゃんを横目に、あたしはぼんやりと違うことを考えていた。明日の体育、どうせ水泳だろうなあ。

「昨日。早紀ちゃんから振ったんだって」

ぼーっとしてたらちょっとタイミングがずれて、ふうん、と気の抜けた返事をすると聞いてんの?と怒られた。

「聞いてるー」
「なんでそんな反応薄いの」
「んー、だって相槌の打ちようがないし」
「はあ?」

早紀ちゃんはまつげが長くてくっきり二重。アーモンド型の瞳をふっくら乗せたほっぺたは可愛いピンクで、ふわふわっとした声でよく笑う。小顔で肩につくかつかないかの髪が似合って、性格も言うことなしの誰もが認める美少女だ。
でもあたしは早紀ちゃんが苦手だ。誰にでも優しいし人懐っこいし明るくて可愛いけど、自分のこと“サキ”って呼ぶとこだけが、何となく気に食わない。

「古賀ちゃん帰ろー」
「もう、人がせっかく、」

そこで古賀ちゃんの言葉は途切れた。早紀ちゃんが教室に入ってきたからだ。部活を抜けてきたのかジャージ姿で、あたしと古賀ちゃんを見ると、びっくりしたみたいにちょっと目を見開いた。

「美代ちゃん、古賀ちゃん。まだ残ってたの?」
「ん、もう帰るとこ。早紀ちゃんは忘れ物?」
「うん。サキ、もうちょっとでお弁当忘れるとこだったんだー」

そういって笑う早紀ちゃんはいつもの早紀ちゃんで、自分の席にかけてある弁当を取って、じゃあねと言って駆けていった。あたしは何故だか湧いてきた罪悪感と、ちょっとバクバク言ってる心臓を無視して、鞄を背負い直す。

「…古賀ちゃん、早紀ちゃんさ、」
「うん、」
「あー…やっぱいいや」
「なにそれ」

――ほんとに啓介振ったのかなあ。





















































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