続・
幼馴染み
「こんにちわー」 「はーい。あ、龍くん、」 「あれ、斎さん帰ってたんだ?」 「うん、お盆やから」 「おかえりなさーい」 「ただいまー」 「すいか持ってきたよ」 「わ、おーきに。龍くんちのすいか、甘くて好きやねん。すぐ切るからあがっていってや。おかーさーん、龍くんとこからすいかー」 「お邪魔しまーす」 「どうぞー。あれ、龍くん背伸びた?」 「え、そう?」 「うん。何センチあるん?」 「今はねー、ひゃくななじゅう…ろく、かな」 「でかっ」 「そうかな。あ、旦那さんは?」 「来とるよー。今ちょっと出とるんやけどね」 「そっかあ…」 「うん、すいか食べへんの?」 「あ、いただきます、って持ってきたの俺じゃん」 「あはは、確かにそやなあ」 「斎さん、」 「なに?」 「すっかり関西のひとだね」 「、そうかな?」 「うん」 「――」 「…」 「…」 「…、」 「なに笑うとんの、」 「や、似合わないなーと」 「えー」 「素人目にみても関西弁下手くそだから」 「なんですと?」 「あはは」 「もう、」 「ごめんって」 「やめるやめる。久々の地元だしね」 「うん。そっちのがぜんぜん斎さんっぽいよ」 「ははは、そっかあ」 「、あのさあ」 「なに?」 「すいか食べたらゴマの散歩行こうよ」 「ん、」 「ね?」 「いいね。行こっか」 「はー、懐かしー」 「わ、斎さんばばくせー」 「失礼な、」 「冗談」 「龍くんからすりゃ、ハタチ超えたらみんなおばさんじゃない?」 「んなことないよ、18、19はちょうど年上に憧れる時期でしょうが」 「へーえ。変なの。ね、ゴマ」 「――ゴマ、散歩久々でしょ」 「かもねー。お母さんもお父さんもやらなそうだし」 「すっげぇ喜んでるもんな」 「ゴマは昔っから龍くん好きだからねー、」 「はは。公園寄ろっか。ちょっと休憩」 「あ、うん」 「あっつー…」 「今日こっち34度とかだって」 「え、ほんとに?」 「うん、ここんとこずーっと」 「うわあ…」 「――」 「…」 「―…」 「ここも懐かしいなあ…」 「、よく遊んだよね」 「そうだねー」 「あ、そういえばさー、あそこの、ちょこっとだけ坂んなってるとこでさー、」 「うん」 「斎さん覚えてるかなあ」 「え?」 「ちっちゃい頃にー、」 「うん」 「あそこで斎さんさ、放置されてた誰かのスケボー乗って、派手に転んで、」 「そうだっけ」 「うん、で、大泣きした」 「えー、してないよ」 「したよ」 「してないよ」 「したよ。俺覚えてるもん。斎さん転んだときぱんつ見えたし」 「そこまで覚えてんの」 「うん、鮮明に」 「えっち」 「だって結構派手に転んだよ」 「それは、泣くかも」 「でしょ」 「かも、だから」 「泣いたんだって」 「泣いてません」 「泣きましたー。相変わらず強情だな」 「龍くんだって、」 「ん、俺?」 「…何でもない」 「なんじゃそりゃ」 「何言おうとしたか忘れた」 「えー」 「……」 「――」 「……」 「――そっかあ」 「、うん」 「ゴマ、放して大丈夫?」 「うん。戻ってくる」 「だよね」 「あ、猫」 「ほんとだ」 「ゴマ、ずっと猫見てるけど、どうしたんだろ」 「好きなんじゃない?」 「え?」 「猫」 「犬なのに?」 「さあ。言ってみただけ」 「あはは、」 「…」 「……」 「斎さん、転んだあとにさ、」 「うん」 「俺、斎さんおぶってさ、よろよろしながら斎さんの家行ったんだ」 「あー、それは覚えてる。」 「ほんと?」 「うん。龍くんあたしより背ちっちゃくて、今日みたいな真夏日に、耳まで真っ赤にして汗だらだらかいてんのに、少しも休まないで歩いてさ」 「そうそう。斎さん泣き止んで、もうおろしていいよ、龍くん大丈夫?って、逆に心配されて」 「でもおろさなかったよね」 「うん。いっつも5分くらいで走ってく道、30分歩いてさ」 「うん」 「家でおばさんにスイカバー貰って、」 「受け取んないで帰ったじゃん」 「うん」 「なんで?」 「んー…」 「…」 「なんでだと思う?」 「え?」 「忘れちゃった、」 「忘れたの?」 「、うん」 「…そう、」 「そろそろ帰ろっか。暑いし、旦那さん帰ってくる頃じゃない?」 「…そうだね」 「ゴマー、帰るよー」 「龍くん、」 「ん?」 「…ごめんね、」 「なにが?」 「なんとなく」 「変な斎さん」 (気づかない振りに気づかれた、) 夏草
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