.人を呪わば.
「死神…月の逆位置に…星?」 (闇があなたの光を遮り、あなたは心が見えなくなる。惑わされず月で闇を祓いなさい、さすれば彗星はあなたに微笑むでしょう) フェーリは先ほどの占いで出た本日の運勢を反復した。闇が光を? 「光…星はせんぱい」 これは間違いない。フェーリにとって光はレムレス。彗星とは間違いなく彗星の魔導士のことだろう。 「じゃあ…闇は?」 彗星がレムレスなら闇はやはりひとりしかいない。先日ひょっこり現れた異世界の……奴だ。 「闇が…光、隠す」 言葉通りだとすると、あの魔導士がレムレスを隠す…どうにかするということだ。只でさえ邪魔な根暗眼鏡がいるっていうのに、更に先輩との邪魔をするというのか、フェーリは机の上のダウジングロッドを握り締めた。 幸いなことに闇を祓えば彗星が微笑むと出ている。つまり。 「奴を祓えば…せんぱいが誉めてくれる…!!」 フェーリは家を飛び出し、目的の彼を探すべく口の中で小さく探索の魔導を唱える。 キィン。微かな金属音と共に、ロッドが動いた。 「…近い、近いわ」 くつくつくつと、喉を鳴らして笑った彼女は、ロッドの示す先を睨み付けた。 「待ってなさいよ…シェゾ・ウィグィィ!!」 彼女の長い1日が、始まる。 .next.← [管理] |