\ちょっとだけ/

すきなだけすきなようにぶち込む超短編
カテゴリ分けできないのでジャンル雑多
主人公名は多々良 陽(たたら はる)で固定
このネタ読みたい!というのがありましたら、よかったら拍手か各コメントにお願いします!

2024.01.09(火) 23:29
呪術 七海

※諸設定と書きたいところだけ


七海のふたつ歳上で呪力多めな特級(仮)な準一級呪術師女主。※転生主
術式の名前は「移気赫糸(うつりぎかくし)」
 術式は、半径100メートル圏内で自身が少しでもマイナスの感情を抱くものの呪力(好運)を、自身が少しでもプラスの感情を抱くものに譲渡することができる。それに伴って相手が自身を嫌い(殺したい)と思えば思うほど、第三者への呪力の譲渡の大きさは大きくなる。故に敵と判断した場合物言いが胸糞悪い言い方になる。
 ちなみに、自身が好意を抱いているものに対しては、自身の呪力も上乗せして渡す事ができる。もともと呪力が多く、お腹に溜め込んでいる。対象者から伸びた糸は自身に繋がれてて(物体関係なく通り抜ける)、その糸が繋がってる間は味方は絶好調が続くが呪霊は絶不調みたいな。物理的に切断することはできないが、自身にプラスの感情を抱かせれば糸は消える。反転術式紛いも使える。糸を紡ぐように呪力がストックされており、呪力が続く限りどんな怪我でも糸で繋ぐことで不足を補わせる。イメージとしては、鶴の恩返し。ただし主人公は対象外。ちなみに、糸は対象者と自身の呪力があり続ける限り切れないが、同時に10本までしか繋げない。主人公にとって対象者が大事であればあるほどに呪力の底上げがされる。
 敵の呪力が尽きるまでの耐久戦しか出来ず(自身にその効果は発揮されないため)、あくまでサポートでしかないので、呪具(特級呪具:天岩戸あまのいわと 薄い石の盾で呪力を流し続ける間は何者からも傷を受けない)を持って逃げ回るだけ。逃げ足は速い。故にいつも任務は二人一組。そういう理由で術式は特殊だがスケープゴートみたいなこともあるため特級(仮)なまま。
 転生を経て呪術師になったことを何かの縁だと思っているので“縛り”を設けている。“自身の命が相手との命の綱引きされる(相手にとって最も倒すべき敵と認識される)分だけ、その場にいる自身がいちばんあいしているものの呪力を底上げ、譲渡できる。”通常時はマニュアルだが、フルオートで可能。ここぞというときにしか、相手に術式を開示しない。生まれ変わる前からこの物語を知っており、渋谷事変までは読了済。七海建人を本気で救いたいと願っていたためにこのような縛りを設けた。

 天内理子護衛で結界内での受渡し時の戦いのときに、五条と夏油を守ろうと領域展開できてしまった子。
「獄糸蓮華巣(ごくしれんげそう)」大日如来の印を結ぶ。主人公から半径200メートルが対象範囲で範囲内にいる呪霊、術師関係なく無条件に領域に放り込まれる。極楽浄土のような風景で、蓮の花が開くと同時に赤い糸が伸び、主人公が必要とみなすものにのみ、それ以外から奪い取った呪力(好調)を与える。糸が繋がった相手の足元に蓮の花が咲き、呪力が減ると散っていく。絶不調となったものはその場から動くことはできない。蜘蛛の巣の要領。通常10本までの糸が20本まで増やせる(対象は任意で選定可)が、その分主人公が集中力を要するため身動きが取れなくなる。
映像イメージは某ホラー洋画の夏の祭典のような華やかで色鮮やかな絶望。



※高専時代編

 多々良先輩が、ひとりになったらしい。

 夏油の声を聞いた七海と灰原は、ぴたりと足を止めた。ひとつ上の先輩達は、自動販売機のとなりのベンチに腰掛けて、そう、と小さな相槌をうつ。「任務先の呪霊、報告では3級程度とのことだったらしいが、窓が呪詛師と組んでいたうえに1級相当の呪霊だったんだって」「なんだそれ、陽たちじゃ無理じゃん。俺らに連絡無かったよな」「ああ、夜蛾先生が行ったらしい」ちっ、と五条が自動販売機を蹴るのと同時に、夏油は持っていた缶を握り潰す。
「陽先輩、ぼろぼろだった。陽先輩の術式でなんとか互角にやれてたらしいけど、呪詛師のやつが銃ぶっ放して、陽先輩庇って逝ったって」
 七海のとなりにいた灰原は、ちらりとかれを見上げると、眉を寄せた。家入の言葉は七海の行く先を決めるに相応しかった。静かに踵を返した七海は、陽が居るであろう教室へと向かう。

「休まないんですか」
 七海くん、机に伏せていた陽は、顔を上げると教室の入口にいた七海に笑いかけた。
「呪術師はみんなイかれてるんだよ」
「…はい」
「涙が出ない。心からかなしんでいるのに、さみしくてたまらないのに、涙が出なくなっちゃった。それにわたしは、自分がいきていることが、可笑しくって仕方ない」
「っ、」
「七海くんは、わたしの術式知ってたっけ?」
「…はい。対象者の呪力の底上げと聞いてます」
「うん、そんなところ。…これ、七海くんには話すけど、黙っててほしい。わたしの術式は、呪力の譲渡。まあ、底上げみたいなものなんだけど、硝子ちゃんみたいに反転術式みたいなのも使えるの。ただね、それには条件があって、わたしの命と相手の命の綱引きが始まったら使える“縛り”をつくってるの。わたしが呪力を譲渡する相手をどれだけ大事にしているかで綱引きが変わってくるようにね。まあ、つまり、今回わたしは、彼を、ちゃんと大事に想えていなかったんだよ」
「、」
「呪力の譲渡がうまくいかなかった。わたしがかれをころ「多々良さん」っ」
「貴女のせいではありません。相手が悪かったんです。ただそれだけです」
「っ、ぅ、」
「彼は貴女を守れたことを悔いてはいません、きっと。貴女に救われていたはずですから」
「、ありがとう、七海くん」

 あとにもさきにも、彼女が泣いているのを七海が見たのはこれが最後であった。





※渋谷事変 七海生存if

「七海くんはきっと、しあわせになれる」

 それが彼女の口癖であった。自分のために使うことのできない術式を持ちながら、最前線に立たされる呪術師の言葉は七海にとって呪いにも似ていた。
 七海が高専に入学したころには、すでに第一線で働いていた彼女は、七海が会うたびに怪我ばかりしていた。同期を亡くし、ひとりになってもなお、呪術師でいようと戦っていた。怪我をした顔でへらへらと笑いながら、あの、五条悟と夏油傑すら「かわいいねぇ」と笑って愛でていた。曰く、大型犬が2匹いるようで面白いとのこと。七海には到底持ち得ない感情である。任務はしっかりとこなし、後輩のサポートもできる、七海の知る呪術師のなかでは、とりわけ“まとも”な術師であった。
 それは、七海が術師の道を歩まず、一般企業への就職を決めた春先のことだ。卒業式のあとに、彼女は現れた。
「七海くん」
「多々良さん」
「遅くなってごめんね、任務やっと終わって」
「いえ、その、わざわざ」
「うん。会いたかったから」
「っ、それは」
「卒業おめでとう。いまからわたしたちは会えなくなってしまうけど、わたしはきみを誇りに思ってるよ」
「多々良さん…」

「七海くん、きみはきっと、しあわせになれる」

 桜が散っていく。そのなかで、やわらかな声を響かせ、野花が咲くように素朴に笑う彼女。七海はどうしようもなく、泣きたくなった。「だから笑ってて、七海くん!」桜に紛れて消えてしまいそうだ、と、ありふれたことばが七海の頭を過っていく。
「怪我をしないでください。危ないことも。休みの日は休んで。私がいないからと夜更かしはせずに寝てください。それから、絶対に死なないでください」
「っ、しなないよ、きみが生きる世界を、わたしは守らなくちゃいけないから!だから!っ、しあわせにね!」


 どうしていま、思い出したのだろうか。七海は独り言つ。身体の半分の感覚はない。痛みすら感じないが、自分は灰原のもとへ逝こうとしている。あの日の記憶は七海にとっての宝物だった。うつくしいままで消えることのない声色と春の香り、それから彼女の微笑み。改造人間を祓いながら思い描いた海辺の景色の中で、あの人を呼んでいた。「あぁ、いたんですか」「居たよ、ずーっとね」真人の触れる指先の感覚だけが鮮明に伝わってくる。遠くに虎杖がいるのだろう。命の終わりを感じているのにどうしていま、あの人のことを思い出すのだ。懐かしい友人の面影が七海を見ている。それは言ってはいけない、けれど。七海は、己の後悔を知る。言葉を、虎杖に乗せた、その時だった。

「領域展開――“獄糸蓮華巣”」

 声が聞こえた。刹那、真人が地を蹴り飛び退くと、着地する間もなく足元の蕾が花開く。

「遅くなってごめんね、七海くん」

 色鮮やかな蓮池のなかで、彼女は泣いていた。「助けにきたよ」抱き締められた腕の中で、七海は目を見開いた。「真希ちゃんも無事。直毘人さんは、もう、ごめん」緩やかな声が降ってくる。よかった、間に合って、もうだいじょうぶ。七海の身体がやわらかな糸に包まれていく。感覚の消えていた半身が温もりを取り戻すのを感じながら、彼女の術式を見つめていた。
「あー?なんだよ、これ」
「…つぎはぎ、この呪霊があのときの…」
「動けないんですけど」
「うん。そういう術式だから」
「呪力、持ってかれてるなー…うわぁ、きっしょ。お前の魂、ぐちゃぐちゃだね」
「…知ってる。我慢比べ、しようか。きみの魂もギリギリでしょう?」
「うっざ、そんな暇ないんだよね」
 わたしもだよ、そう言って涙を隠すこともなく笑った彼女の呪力が爆発的に上がった。もとから呪力は多いと言っていたな、と七海は思い出す。驚きを隠さない真人の目の前で、彼女から溢れた呪力はすべて七海に注がれる。その呪力は糸となり、七海の欠損した身体を紡ぎあげていく。「あー、縛りを持ってたわけかー、なるほど。先にアンタを殺さないといけないわけね」「うん、そうだね。きみの片割れも、同じになっているのをわかってる?」「だから先に殺すって言ってんの」「悪いけど、わたしは離脱するよ」七海を膝に抱えていた彼女は、目一杯の力で担ぎ上げると、領域内にいる虎杖の傷を同じように塞いでいく。七海の傷に比べてその再生スピードは劣ってはいるが、致命傷を無くすには十分である。もう一人、領域内に飛び込んでいた釘崎野薔薇の傷も塞ぎながら移動する。

「領域の押し合いなんてするつもりはないよ、呪霊くん」
「はぁ?」
「だってきみはもうすこしで終わるから」

 動けない真人を他所に、彼女は七海を連れて離れていく。その間も領域は消えることはない。「ごめん、虎杖くん」すれ違いざまに、彼女は虎杖悠仁に、あのことばを告げた。

「あとは、まかせます」




 真人との十分な距離を取り座り込んだ。膝の上に七海を抱えて、領域を解いた。これから先の展開をはるか昔の記憶から呼び戻す。術式を施した野薔薇は死なないだろう。真人の片割れは、術式をかけた時点で呪力を消耗しており、糸を通じてその呪力は奪ったため、野薔薇との戦闘を終了している。仮に虎杖と合流したとしても問題ないはずだ。いまは重症の七海の治療をと、彼女は膝にいる七海に集中した。
 彼女の顔を見上げながら、七海はその頬に触れた。彼女はあの特級に術式の開示を行い、自身の命との綱引きを始めた。それは昔、七海が聞いた“縛り”を意味している。「多々良さん」七海は自身の掠れた声に、笑ってしまった。この人は私の命を優先させているのだ。それがうれしくもあり、かなしくもあった。「まだ、喋らないで。もうすこしで、ぜんぶ戻せるから」土埃と誰かの血液と、自身の汗に塗れたぐちゃぐちゃの顔で笑う彼女を見つめていると、七海は卒業式のあの日、本当に言いたかった言葉を思い出す。呪術師に復帰しても言えないままでいた、弱い自分を振り払う。あの頃、春にてんとう虫を指先から放つ彼女を呆れた顔で見ていたこと、夏に見た海辺の彼女を思い出して、またこうしてふたりで海を見たいと願っていたこと、秋に美味しそうに秋刀魚を食べる彼女を見て、いつかふたりで食卓を囲みたいと思ったこと、冬に雪景色のなかで手を繋いだまま離れたくないと思ったこと。すべて、過去にしたくないと願っていたあの頃の七海はもういない。

「私と、ずっと、いっしょにいて、くれますか」





????
ずずずはななみんがすきです
更新遅くてすみません…
生きてます。じつは結婚して子供が産まれて、いろんなネタだけは書き溜めてそのままなんです…

7月、拍手で久しぶりに訪問して、あの頃を思い出した、とコメントをくださった方へ。
とてもとてもうれしいお言葉をありがとうございました。わたしも救われました。この一年、初めての育児に荒んでいた心が救われました。
まだまだラングドンシリーズすきですし、映画もドラマも沢山みてます!時間がなくてもながらで見て、ネタを溜めてます。ぼちぼちですが、まだ更新したいと思ってますので、お付き合いいただけたらうれしいです。あなた様がしあわせであることを祈りながら、わたしも糧にがんばります。
こんなところでお返事失礼しました。

 
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2021.05.30(日) 21:50

巨獣 安田


(注!安田が広いジャンルのオタク設定です。ヒロアカ世界から出てきた子と安田。個性は浄化。触れたものを清いものに変える。傷や怪我など、持ち主に悪いものを良いものに変えるイメージ。後天的なものに限り、先天的な病気などは治せない。浄化するのにエネルギーを使うためかなりの大食い。名前は、清浄真白ーせいじょうましろー※この世界ではヒロアカが漫画で存在する世界とします。)


「安田くん」
「はぁい」
「すまないが、世話を頼みたい人がいる」
「えー僕に任せるとはなかなかですね」
「きみが適任だと聞いたからな、入れ」
「……お忙しいところ失礼します。わたしは清浄真白と申します。以後お見知りおきを」
「?!?!!え!?!!は???なんの冗談」
「ここでは限られたものしか知らぬ人物だ」
「コスプレイヤー呼ぶなんて疲れてますね」
「そう思うならそれでも結構。だが、彼女は想像を超えたことをしてくれる人間なのでね。きみに任せたい」
「清浄真白って、だって、はぁ?いや、声も本物だし、髪も地毛っぽいし、瞳も白だし!」
「…やはり、この世界では、わたしの世界は、紙面の中の物語なのですね」
「は????本物????」
「……わたしはあの世界で死にました。それが気付いたらここに。もう一つ申し上げるのならば、この世界には我々の個性というものが存在しない世界なのですね」
「あーーーーーーゴジラといい彼女といい!!!意味がわかりません!!!!」
「安田くん頼んだよ」
「あーーーーーー!!!!!!!」


※安田龍彦はオタクである。

 巷でヒロアカといわれる作品を、安田はとてもすきで拝見していた。その中で、ヒーロー協会の医療機関に属し、ヴィランによって殺された稀有な個性の持ち主が清浄真白というキャラクターであった。誰にでも別け隔てなく平等で博愛主義、こじんまりとしたキャラクターだがスタイルが良く描かれ、ナイチンゲールを彷彿とさせるナース服姿がオタクの間では密かな人気で、インターネット上には沢山の絵柄で溢れていた。そして、安田も、そのキャラクターを推すひとりであった。
「あ、あの、本当に」
「わたしも、夢だと思いたかったのですが、わたしがあちらで死んだのは本当のようでした」
 悲しい表情で笑った真白の表情に、安田は息を呑んだ。「しかし、海に帰ったあれは個性ではなく新種の生物と言われても、わたしには納得し難くて」その表情を隠すように彼女は告げる。何を話せばよいか分からず、その優秀な頭を動かして出した言葉は、おそらく、あなたの仕事は除染作業です、との一言だった。すると彼女も、眉尻を下げてそんな気がしていた、と苦笑した。
「安田さん、とおっしゃいましたか?」
「え、あ、ああ、はい」
「わたしは計算も予測もできません。ですが、悲惨な現場は幾度となく目にしてきました。あれを繰り返してはいけないんです。…わたしは、ヒーローではなかった。でも、でも!わたしができる精一杯であなたがたを、この日本に生きる人を少しでも多く救います!!」
「?!」
「だから、安田さん」
「っ、はい」
「まずはあなたのその隈をとりましょ」
 おれがまもらなければ、安田は、己の頬に触れた真白の指先の温度を感じながらそう強く思うのであった。


―――――――
常陸はクロスオーバーだいすきなんです!!!!
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2021.05.15(土) 14:05
民王 秘書

※設定と書きなぐり

翔くんのお世話係という名の見守り要員。28歳くらい。
労働環境、家庭環境の面倒な田舎から上京してきてすぐに露頭に迷っていたところを翔くんに助けられ、翔くんの母君に「家政婦として翔の状況を報告してくれるなら給料を出す」と言われ頷いた。拾われたのは25歳ごろ。
名目上は家政婦。柔らかい雰囲気で空気を読みすぎて疲れちゃった子。イェスで生きてきた。メンタルだけは激強で嫌味も気にしないタイプ。だが基本スタンス面倒なことは嫌いなので、翔くんがしたいことを察して先に動く、要領がいいようで悪い。パンツスタイルが多く、肌の見える格好をあまりしたがらない。ちびの巨乳だといい。独学でジークンドーをやっている。翔くんや親しいものと話すときは口調はくだける。
翔くんのおかげで実家との仲は良好に戻ったが、家政婦の仕事と翔くんに恩があるので帰郷はしていない。
貝原は家政婦ちゃんのことがすきだが、家政婦ちゃんは微塵もそんなことを考えていない。家政婦ちゃんも貝原がすき。大人の面倒な両片想い。貝原には美人で有能な女性または男性が似合うと思ってる。



※家政婦はいつも居る

「翔、家政婦さんおつー」
「おう」
「ごほん。皆様、お疲れ様でございました。これからアルバイトでしょうか」

 片手をあげる翔に対して家政婦は咳払いをすると、日常のひとつであろう台詞をごく自然に口にした。女学生に囲まれる翔(中身は泰山である)を守るように会話を適当に流すと、また、とお辞儀をして女学生らが去るのを見送っていた。「翔のやつ女ばかりに囲まれているのか」翔の顔で泰山は眉を寄せた。

「総理、そろそろ」
「ああ。ところで、陽よ」
「はい、どうされました?」
「お前は向こうに居ていいんだぞ」
「ええ。ここには私もおりますから」
「しかし、泰山様のお姿の横にわたしが居ては、世間様の目にどう映るかわかりませんし、泰山様…翔くんのご指示でもあるのでご一緒しております」
「多々良さん、もしかして授業の代弁とか」
「はい。翔くんの筆跡ならお任せください」
「っ翔!!!!!お前はどんだけ駄目なんだ!!!」


※パーティー着いていきました

「ねえねえ、家政婦さんもさあ、楽しんでよ」
「楽しんでおりますよ」
「そーそー俺らと飲み比べしちゃったりする?」
「本日は村野様のお誕生日パーティーですから、村野様をお誘いください」
「そー言わずにさーねぇ、「多々良さん」っ」
「貝原さん」
「少し外で仕事のお話を良いでしょうか」
「はい。それでは皆様、失礼します」

「……」
「助けてくださってありがとうございました、貝原さん」
「…いえ」
「女学生さんとのお話は良かったんですか?」
「趣味だのなんだの余計なことを女性がキャーキャー話したいだけの時間でした」
「ふふ。相変わらずでしたねえ、茂平さん」
「べべべ別に女性に動揺など」
「おや、泰山様が出てこられたようですよ」
「…」


※貝原茂平は一目惚れを認めない。

「貝原、これが翔の御目付役のような家政婦の多々良陽だ」
「初めまして、多々良陽と申します。翔様のお世話をさせていただいております。…出身が九州なもので訛があってお聞き苦しい点があるかとは思いますがよろしくお願いいたします」
「っ!」ガタ、ガタッ!
「落ち着け、貝原。あとは頼むぞ、陽」
「はい、泰山様。…貝原様、お疲れでしょうからお座りください」
「えっ、あ、は、はい(ち、小さい…かわ、か、かわいいっ、)」
「…泰山様のお付きはよろしいんですか?」
「ぁ、はい。総理はまた明日お迎えに上がりますので」
「貝原様、わたくしが小さいものですから視線が合わせづらく申し訳ございません。っと、これで如何でしょう?」
「っ?!?!(膝をついて見上げるなんて自分がどんなことしてるのかわかってるのかこの人はっ!)」
「ふふ、ようやく目を合わせてくださいましたねえ、貝原様」
「あ、の!!」
「はい、何なりと、貝原様」
「も、茂平です!」
「?」
「私は貝原茂平と言います!!様とかそれもいりませんから茂平と呼んでください!!!」
「! ふふ、はい、では、わたくしも陽とお呼びください、茂平さん」
「〜っ!!!(すきだ!!!!!!)」


※貝原茂平は惚れている。

「鼻血が出ちゃうくせ、治ってなかったんですねえ」
「ずび…すみません、お見苦しいところを」
「いえいえ、そんなこと」
 ぽんぽん、と陽が柔らかく叩いたのは、陽の膝(太腿)に頭を乗せて柔い自身のベッドに横たわる貝原茂平である。このような状況になったのは言うまでもなく泰山のおかげである。自分の部屋に想い人が居る。それだけで鼻血を出して倒れた己の不甲斐なさに落ちこんでいいものか、この状況を喜んでよいものかと葛藤していた。「茂平さん、お疲れなんですよ」頭を撫でながら甘い香りをまとわせている彼女が微笑むと、貝原の胸の奥がきゅうと鳴った。
 やっぱりすきだ。貝原は、陽の柔い瞳に写るものが今は自身以外にいないことを感じながら想う。きっかけは、出会ったときの一目惚れ。はっきり言えば見た目であった。貝原の居る界隈にある策略や陰謀めいた雰囲気もなく、素朴な、ただ淡い春のようなその表情にひと目見て恋に落ちたのである。それから、お互い従者という立場にあることから交流が始まり、陽のやさしすぎる性格に心底惚れ込んだ。
 貝原茂平、32歳独身、多々良陽に対する感情は己の予想をはるかに超えて暴走寸前であった。

「あーもうだめだ、僕と結婚しましょう」
「…………は?」
「……………………………は?!」

 ぽかん。沈黙。ついで流れる滝のような汗に、貝原は考えていた言葉が口に出ていたことに気づく。陽も何が起こっているかわからない顔で、お互いにしばらく沈黙を決め込むと、陽がぷすり、と笑った。それからくすくすと微笑んで貝原の右手を取ると、頬に寄せた。

「そうですねぇ、茂平さんが、遠くに行かないでいてくださるなら、わたしも結婚したいです」

 貝原茂平32歳独身、明日、死ぬかもしれない。そう頭に過ぎった貝原は、鼻血を出して倒れたのであった。


ーーーーーーーー
書きたくなってきている…!
 
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2021.05.12(水) 21:35
民王 秘書

(注!ブラック企業勤めのアラサー女主。やみくもで深夜飯を食べて帰る習慣があることから、翔と仲良くなった。翔のふにゃふにゃ加減を見るのが癒やしだった。ひょんなことから童貞貝原に目をつけられている。貝原→→→←陽な感じ。会話のみ)



「ただいまあああ……労働とは、労働とはこれほどまでにわたしを殺すのか…労働…おまえは一体なんなの…」
「体を使って働くこと。特に、この社会における労働とは賃金・報酬を得るために、体力や知力を使って働くことですかね」
「ちがう、そうじゃないんですよ、てかなんでいるんですか貝原さん」
「こんばんは。あなたに会いにきました」
「ひとりで気持ちよく呑んで帰宅したはずなのになぜ会話が成り立ってしまったの」
「本日も遅くまでお仕事でしたね。お疲れ様です、多々良さん」
「翔くんに渡してた合鍵を盗んだんですね」
「盗むとはそんなまさか、翔くんから拝借して丁重に預かっておりますそれだけですよ」
「一息に言うことでもない」
「さあ、早くお上がりください。お水ありますよ。お風呂も準備してます」
「ぐ…こいつ…いくら歳上で出来る秘書とはいえ犯罪スレスレ紛いの行動をしてるんだぞわたし…絆されるな…!」
「入浴剤は総理からの差入です」
「負けた…頭上でゴングが鳴りました…流石ですね、貝原さん」
「お褒めに預かり光栄ですそれで結婚してくださいますか?」
「いつの間にかマイパジャマまで置いてるやつの台詞ではないですよね、結婚しません」
「チッ」
「舌打ち聞こえてますよ…」
「早くお風呂に入ってください。あ、シャンプー類は僕が使っているものに変えましたので」
「ばかやろうかよ…この前補充したのに…ドラストで買えるやつじゃいけないのかよ…」
「陽さん、申し訳ないのですが明日が早いので先に寝ます。おやすみなさい」
「おやすみなさいませーーーわたしのベッドに入るのはもう止めませんどうぞすきに使ってください」



ーーーーーーーー
 てな感じのやり取りしかしない話が書きたい。乙女ちっく貝原に男前な主人公で、お互いにちゃんとすきなんだけど、主人公が貝原の立場を考えたときに素直になれない感じ。
 お久しぶりです生きてます。この通り、今更たみおを見てしまってぐあああってなってます。
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2020.09.06(日) 00:33
404 伊吹と志摩


(注!ブラック企業勤務の一般人主。美しいものは至高だと思ってて、必死に生きているものはすべて美しいとおもってる打たれ強い子)


 むしゃくしゃしていた。そう、理由付けることにした。
 得意先から無理難題を押し付けられた営業が、事務のわたしに無理難題を押し付けて、製造との間で板挟みにされてようやく帰宅を決めていた、午前2時38分。それを邪魔されたことへの報復くらいゆるしてくれ。

「邪魔だブス!!!!!!!」

 宙を舞うお気に入りのコンビニスイーツがスローモーションに映る。明日を、いや今日を生きる糧が、いま、しんだ。

「ブスだよ!!!!!!知ってるわ!!!!!!」

 後ろからわたしを目掛けてぶつかってきた男の背中に向かって、思わずそう言った。そして、仕事上電線ドラムを抱えるので履いている安全靴を男に向かって投げる。スイーツと同じようにきれいな弧を描いた安全靴は、男の頭にクリーンヒット。転んでいたわたしは直ぐに立ち上がり、ホームベースを踏んだ野球選手よろしく右手を振り上げ男に飛び付いた。

「ブスだよわかってるわ!!!!だが!!!!わたしは必死に生きてんだ!!!!わたしの生きる糧をよくも!!!!!」

 日頃のうっぷんをはらすかのように、火事場の馬鹿力というか、なんというか、日頃電線ドラムを転がしていた腕力で男を殴りつづけていた。しばらく取っ組み合いをした男はただただ振り下ろされる両手を塞ぐばかりで、逃げようとはせず、すみませんと小さい声で謝っている。「謝るくらいなら」わたしの声はいつの間にか涙に揺れて、弱く震えはじめてしまった。

「ね〜、謝るくらいなら、逃げんなよ」
「同じく。大人しくしろ」
「!?」

 ぱしん、男を殴りつづけていたわたしの右手を、快活な声が制した。後ろから包まれるように降りてきた落ち着いた声は、わたしをそうっと抱きかかえると、男のもとから引き離すように二歩分だけ後ろに下がった。「は」喉から掠れた声が漏れるわたしを他所に、夜なのにカラーグラスをかけたくしゃくしゃの髪の毛の男の人は、しまちゃんてじょう、とわたしの頭上を見つめる。その視線に合わせて首を回すと、冷たい視線のこれまたくしゃくしゃした髪の毛の男の人が、自分のあるだろ、と。「さっき使っちゃったー」からからと笑いながらどこか影のある雰囲気のまま、カラーグラスの男の人は受け取った手錠をかちゃんとかけていた。

「…ご協力感謝します」

 頭上から降ってきた声は、しっとりと身体に染みる。ごきょうりょく、繰り返してしまった言葉を拾った後ろにいた男の人は、くるりとわたしに向き直って頭を下げた。「怪我をさせてしまい、申し訳ありません」けが、とまた繰り返したわたしに視線を移した男の人は、わたしの膝を指差したあとに右手に触れた。

「…ウニクロ行かなきゃ…あ、開いてないや…」
「ぶっ、」
「伊吹」
「いやいや、志摩ちゃん、笑っちゃうでしょー。第一声が服を買わなきゃって」

 まずは病院だよ、とカラーグラスのひとが悲しい顔で笑った。そういえば右手が痛い。膝もじくじくするし、足の裏も靴下が破けてるみたい。恥ずかしい。触れていた右手をそっと外すと、ホコリを払って、安全靴を履いた。それから、失礼します、と頭を下げる。「いやいや!待って、警察だよおれら!」「逃走中の犯人、あなたが捕まえてくださったんですよ」疲れた頭には理解し難いことばだ。
 追跡中にあなたに暴言を吐いてぶつかったうえに怪我をさせたんです、こいつ。しまさん、と言われた男の人が落ち着いた声でそう語る。

「あぁ、だから、……っ、ブスって、ああ、なるほどっ…!」
「……」
「っ、ブスって、わかってるよ…でも、がんばってる、のに、っ、必死に生きてる人間に言うことじゃない…!」

 ぼろぼろと流れる涙と、ぼろぼろのわたし。うつくしくないなあ。痛いし、涙は止まらないし、疲れたし、くやしい。わあわあと泣き出した大のおとなであるわたしを彼らは見つめている。彼らだって仕事なのだ。わかっている。

「あなたは強いですよ」
「そーそー、こーんな体格差のある男に立ち向かえるのはすごいことだよ!」
「こいつの言うとおり、あなたは立派なひとだ」

 きらきら、ぴかぴか、真夜中の街灯にふたりの男のひとがひかってみえる。「おれは伊吹、そっちは相棒の志摩ちゃん!」「ちゃんは余計だ」なんだろう、とても眩しい。

「あなたのお名前を教えてください」



感電
(えー!こんな時間まで働いてたの?!違法だよ)(まあ、そういうものです)(…明日、お話を聞かせてください。会社にはこちらから連絡しますので)(そーそー息抜きだと思って)(……あなた方がお話を聞いてかださるなら)(!もちろんです)
ーーーーーーーーー
みうおもしろすぎた
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