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短編
ブロワリア(幸村)
『「あ...。」』
相手も気づいたみたいで声がそろう
目の前にいるのは昔付き合ってた人
「久しぶりだね。」
彼が口を開く
『久しぶり、精市。』

彼、幸村精市と私は中学時代の三年間付き合っていた
仲は良かったけど精市は部活、私は外部高校受験のための勉強と想いのすれ違いが多く卒業式を境に関係が消えていった
それからは一回も会わなかった
会おうと思えば会えたんだろうけど何となく気まずかった
今思えばお互いの事をちゃんと理解しようとしてなかったんだと思う
まだまだ子供だったんだ
そして時間は流れ、私達はだいぶ大人になった

「名前のその驚いた時に手を口にあてる癖、相変わらずだね。」
『精市の驚くと肩肘を掴む癖こそ。』
お互いに懐かしむように微笑んだ

『それじゃあ。』
今度は私が口を開く
「うん。じゃあね。」
またね。は言わない
きっと偶然でない限り会うことはない、と感じたから
嫌な意味はなく彼もそう感じたはずだ
今の方が精市を理解できている気がする
「あ、」
すれ違いざまに精市が呟く

「今、幸せ?」
『・・・うん!!』
指輪、気づいたんだと思うのと精市の左の薬指に輝いているものを見つけたのは同時だった

『精市も今、幸せ?』
「うん、幸せだよ!」

私達はまた笑い合い背を向けて歩き始めた


さようなら 大好きだったアナタ
さようなら 大切だったキミ

会わなくなっても大好きで
会わなくなっても大切で

本当に好きだったんだって感じた

でも

私じゃ
俺じゃ

幸せにはできなかった

アナタが
キミが

幸せになれる人とめぐり合えたことが自分のことのように嬉しい

さようなら大好きだったアナタの
さようなら大切だったキミの

幸せがどうか末永く続きますように



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