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空飛ぶ魚
ラボと兄弟と計画、



「着いたよ…って、気ぃ失っちゃって。
仕方ない娘だなぁ、隊長殿は。」


ひょいと隊長殿を抱えあげる。
まだまだ僕も若いからね。女の子のひとりくらいは軽いのさ。


「あらら、公表数値よりずっと軽いんじゃない?体質改善も必要かな。


「そのお姫サンが、和喜サンのお気に入り?」


…リオ、もう立てるのかい?」


玄関の前には、包帯まみれのリオ。

包帯まみれになっても、変わらない勝ち気な瞳は僕の腕の中を観察している。


「まぁね。にしても、まだ若いね?」


リオはケラケラと笑う。笑えるぐらい回復したなら良かった。


じゃないと、



廃棄だったから、ね



「はいはい。それより、ベルはいる?」
「研究室。ベル兄も早くスーツを完成させたいみたいだからね。」


スーツ…
僕がなんとしても完成させたいもの。
僕の野望と未来…

そして


この娘のために



「和喜サン…」


振り向けば、白衣をだらしなく着込んだベルがいた。

煙草は吸うなってお願いしたんだけどな…


「ベル、煙草止めてよねって言ったでしょ。
スーツは完成した?」
「本人、適性 次第。
煙草 チュッパ。」


ペロリと飴を口から出して、そのまま床に投げ棄てる。
うわ、汚い。掃除してよね。


「華良なら大丈夫だとは思うんだけど…。

心は国家に忠実だろうから。ある程度の改竄はしないとマズいかな?」


この計画に正義感は邪魔だからね。


「記憶 操作?」


僕らに都合の良いように記憶を操作する、記憶操作。
これは、僕の美学に反するからな…。


「いや、暗示をかけようか。
本人も気がつかないくらいに少しずつ、ね。」



気付いた時には僕の忠実なお魚サン。



と て も 素 敵 だ …




「隊長サン 睡眠?」


ベルは冷ややかな目で隊長殿を見やる。
なんだかデジャブ…。


「鳩羽華良だよ。
パーソナルデータはメインPCにあげとくよ。まぁ、もう一回測定し直すけどね。」


実際に体重とかデータずれてるし。


「気絶?」
「うん。あえて、渡鳥で来たからね。



催眠術かけながら」


クスリと嫌な笑いをベルは浮かべる。


「さぁ、実験を始めようか。」



これから始まるのは、ハッピーエンド

それとも、バッドエンドか


どっちにしても、華良は幸せにしてあげるよ。






僕の命をかけてね。





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