空飛ぶ魚
プロローグ
20XX年 春
私は数日分の休暇を携え、久方ぶりに自宅へ帰ってきた。
「いやぁ、久しぶりの自宅はいいものだ。
駐屯地とは違った空気の清らかさ、最高!!」
私は、軍人だ。
普段は厳重に隔離された駐屯地で、窮屈な生活を送っている。
しかし、自宅を任せている兄夫婦に偶に給料の半分を渡しに帰宅しているのだ。
「ただいま、今帰還しましたよっと。」
「お、おかえりなさい。」
奥から顔を覗かせたのは、宇良兄さんの奥さんの愛美さん。
美人というより可愛い系の女性だ。
いいね、恐怖に歪む顔
「愛美さん、兄さんは仕事?」
「う、うん。今日は、お仕事あるって…。用事、あった?」
「そうですか、いや大丈夫ですよ。
さ、お待ちかね今回の給金です。」
どさっと、袋を床に置いた。
「今回は頑張ったんで、いつもより貰えちゃいました。」
「そ、そうなの…お疲れ様。」
ちなみに何を頑張ったって言うと、敵を殲滅するのですよ。
だから、この金は血濡られた金ってね。
「今回の滞在期間は、四日後夜まで。
一応、鳥羽が屋上に待機します。危険だから近寄らないでください。」
冗談混じりに、洗濯物干さないでねなんて言ってみる。
一般人が乗れるとは思わないけど、悪戯されたら処罰ものだしね。
「少し眠りますね。おやすみなさい。」
よいしょと、思い背嚢をかつぐ。
すれ違い様に愛美さんの口からはっきりと、
『悪魔』
と聞こえた。
まぁ、気にしない。
だって、私は悪魔も恐れる特殊部隊の隊長様なのだから。
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