[
携帯モード]
[
URL送信]
邑上サキヒトの場合
俺の眼前、に立ちはだかるのは、俺の家だ。
俺の家。邑上家。
主催者に言われた指示、むしろ命令はこうだ。
アトを呼び出し、「お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ〜」と言い、お菓子をもらってくる。
やること自体はめちゃくちゃ簡単なことだ。だけど、相手がアトとなれば話は別だ。
アト以外なら、誰でも構わないんだ。アトだけには、会いたくない。会いたくないし、話したくもない。
でも、俺は主催者のナイフを思い出す。首筋に当てられた、その感触。
怖かったね、ホントに。
あれは、俺の人生において、「あ、俺死ぬな…」って思った瞬間のナンバーワンだった。
死ぬのはヤだからさ、俺はやるよ。
よくよく考えてみれば、このかぼちゃマスク被ってれば、アトも俺のこと、わかんないだろ。多分。
チャイムを鳴らす。
すると、アトが出てきた。
「はいー……って、何?」
俺の決心は固い。
言うぜ。言ってやるぜ。
「お菓子をk」
「何やってんのサキ?」
秒殺?!
なぜバレたし!?
「前からサキがおかしいのは知ってたけど、いい加減狂っちゃった?」
俺は。
俺は、俺の右手を固く、握り締めて。
アトを殴って、しまいました。
アトの頬に、俺の右拳はクリーンヒット。アトは変なうめき声を玄関に倒れこんだ。
もう知らん。お前なんか。後は母さんにでも助けてもらえ。
「お疲れ様でした」
主催者は微笑み、俺にそう言った。
ハイタッチなんてしちゃう俺と主催者だった。
[*前へ]
[次へ#]
[
小説ナビ
|
小説大賞
]
無料HPエムペ!