雨の日は
連絡
「……っ、おい、久志! 大丈夫か?!」
尚希のことを考えてぼーっとしていたらしい。
我に返れば、ここは俺が通う高校で、今は昼休みらしい。
「あ、ごめん……大丈夫、だ――」
「嘘吐くなよ! お前、最近食欲なさそうだし、目の下のクマが激しいし、顔色悪いし……」
いつも一緒に行動しているダチが口々に心配する。
「だいじょーぶだって。ちょっと、トイレ行ってきまーす!」
また嘘を吐いて、その場から逃げ出す。
大丈夫、なわけがない。
尚希から連絡がなくなって、一週間が過ぎた。
尚希のことを考えると食欲も起きない。夜も眠れない。
自分を護る為に尚希のことを悪く思って自己防衛しても、自分の為に尚希を傷つける自分自身を嫌悪してしまって、悪循環。
(何やってるんだろ。)
結局、トイレではなく屋上に来てしまった。
午後はサボるか。
なんて思っているところに着信がきた。
「はぁ、誰だ……――」
発信相手の名前を見て息が詰まる。
そう、尚希からの一週間ぶりの連絡だった。
慌てて電話にでる。
「も、しもし?」
『ひさし……?俺、尚希だけど。』
久しぶりの尚希の声。でも、何か疲れているようだ。
「そんなの、わかってる……!」
それなのに、優しい言葉をかけることができない。
『ごめ、ごめんなぁっ……連絡、できなかった。』
え? 尚希、泣いてる?
「ど、した? 泣いてんの?」
『ひさ、し……。話があるんだ。今から、いつものバス停に来てほしい……。』
「……わかった。今から行くから。じゃあね。」
話? 分かってるよ、俺のこと気持ち悪いから近づくなって言うんだろ!?
そう思いながら電話を切る。
――でも、
「なぁ、何でお前が泣いてんだよっ?」
俺が泣いている尚希を放っておけるわけがない。
だから、急いでいくよ。
俺にとって、最悪な結末が待っていても――。
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