Novel
ありふれてる大切なこと
僕が貴方の傍に居る事は、至極普通の事なのかもしれません。
同じ部に所属している訳ですしね。
ですがそれは当たり前と思い過ぎて、大切な事を見失ってしまう原因になるような気がしてならないのです。
「…はぁ……?」
僕が突然語り出したからか、彼は何言ってんだこいつ?とでも言いたげな視線を向けながら少し気の抜けた返事をした。
ふふ、そんな所も可愛いと思ってしまう僕は末期なのでしょうか?
…いえ、彼が可愛すぎるので仕方ないですよね。
「当たり前だと思ってる事が突然失われればそれがとても大事な事だった、と気づかされると思うんです」
「あー…まぁなんとなく言いたい事は分かるが…いきなりどうしたんだ…?」
「いえ?…ただ、貴方が傍に居る事を、僕が貴方の傍に居られる事を当たり前と思って生活するようになっては少し贅沢な気がして…」
そう。
彼は神に選ばれた鍵で。
僕は神に選ばれた超能力者で。
もし神が彼を鍵として選ばなかったら。
もし神が僕に力を与えなかったら。
こうして彼の傍に居る事も、ましてや彼をこうして好きだと思う事もなかったのだろうか、と思うとなんだか不思議で、少し寂しくなった。
彼との確かな繋がりを感じているはずなのに、実際は神が居なければ出会う事すら叶わなかったかもしれない。
そう思うと、寂しくて怖くなった。
「あのさ、」
「…はい」
「お前が何考えてんのか、俺には完全には分からん。だがな、お前がそういう顔してる時はろくでもない事考えてるだろうなって事ぐらいは分かるんだぞ」
「え…?あ、あの…」
「どうせ、ハルヒがどうこうって考えてんだろ?」
「う…はい…」
「やっぱりな…」
彼は鋭い。
自分の事だと疎いくせに周りには良く気が回る人だ。
そんな所も勿論好きなのだが、考えていた事をそんなに表情に出していたかと思うと自分が情けなく感じる。
「お前がどう思ってるから知らんが、俺はハルヒだけの力で〜なんて思ってないからな」
「え、それってどういう…?」
「そ、それくらい自分で考えろ馬鹿!」
と、勢い良く僕から目を逸らした彼の頬は赤くて、それを見た僕の頬も紅く染まってしまった。
「きょ、キョンくん…?」
「……お前はハルヒの力で俺を好きになったのか?」
「そ、そんなまさか!そんな訳ありません!」
少し拗ねたように言う彼が可愛くて、思わず抱きしめた。
「…だったら、良いけどさ」
「すみません…そんなつもりで言った訳じゃないんです」
「…分かってる」
「キョンくんを好きな気持ちは涼宮さんは関係ありません。僕の一番正直な気持ちです」
「ああ…」
「変な事を言ってすみませんでした。…だから機嫌直して?」
「…キス」
「え?」
「……してくれたら許してやらん事もない」
「な、なんで貴方はそんなに可愛いんですか…!」
「ちょ、んっ!」
あまりの可愛さにぎゅうっと抱きしめてすぐさまキスを愛しい唇に送る。
キスをした後まだぎゅうっと抱きしめ、キスしてだなんて珍しいですねと尋ねると、お前が変な事言うからだと軽く肩を叩かれた。
当たり前の事を当たり前だと思う事は悪い事ではないけれど、良い事でも決してないと僕は思う。
だからたまには、ありふれた毎日の中で、その当たり前の事を再確認してみるのも良いんじゃないでしょうか?
そうすればきっと、大事な物を見失わないで済む。
大切な物を失わないで済むのではと、僕は思います。
ねぇ、キョンくん。
僕と貴方が出会えた事は運命だなんて言ったら貴方は笑うでしょうか…?
end…
これ甘い…?のかな?
キョンデレが書きたくていきなりキョンデレにしてみました!←
キョンデレ最高だ…´`
すみませんこの小説キョンデレ以外何も考えてないです←古泉は
ここまで読んで下さった方ありがとうございました!
お粗末様でした!
零紅拝
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