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Black Number
狂った世界。狂った僕等。J
「もう相手さんは伸びてるよ。陽ちゃん、もういいから、ね?」

ふう、と息を一つ吐き、陽を落ち着かせるように静かな口調で言葉を綴るクロ…




……
―バキィッ!

「よくねぇ!!クロを…クロのことを悪く言う奴は俺が許さねぇ!」
クロの諌めも聞かず、リアスを睨み付けたまま全身を怒りに震わせた陽が壁に拳を叩き付け叫んだ。
―なによりも大切な人を、リアスは自分と同じだと言った。そして目には見えぬとも、クロの心をを傷付けた
陽には何よりそのことが許せないのであった…




「クロをお前と一緒にするなッ「よーちゃん!」…!」
再び振り上げられた揚の拳をクロが後から掴かむと、震える身体を優しく抱きしめてやる…
「もういいって言ってるでしょ?オレの言うことが聞けない?」
ぎゅっと抱きしめたまま耳元で静かに囁いた。
…誰よりも優しい君が、誰よりも愛しい君がこれ以上オレのために汚れぬよう。
優しくクロは言葉を綴る。
途端に陽の全身から力が抜けていくのを感じ、クロは掴んでいた右手を離した。
右手はだらんと力無く落とされる…

刹那の沈黙の後、陽は小さな声で。ぐっと拳を握り締め精一杯怒りを押さえ込んだ声を零した。
「だって…クロは…こんな奴とは違うんだ。俺は、よく知ってる。クロはこんな奴とは違う」

―正面に向き直りクロに真っ直ぐに向けられた陽の瞳。
その強い瞳は太陽の如く闇が侵食したクロの心を照らし出す。


…あぁほんとに敵わないねぇ


「クロ…こいつの言うことなんか気にすんなよな?」
首をちょこんと傾げながら、クロの様子を伺う陽に苦笑しながらクロは頷いた。
「うん、そうだね」

…ぎゅっ
今度は力強く陽を抱きしめる。
土煙と血の香だけが漂う冷えたこの空間に、二人の間だけは暖かな温もりに包まれた。






「…ぅ………ッぅ」


あぁ…生きてたの。

陽を抱きしめたまま、クロは微かに息のあったリアスを見詰めた。何の感情も篭らない瞳にはグチャグチャになった狂人の成れの果てが映る。陽に殴り潰された身体は至る所が凹み骨が飛び出していた。口からは惜し気もなく深紅の液体が流れ出している。

―カチャ…クロはリアスの頭に静かに銃口を向けた。


「…クロ?」
「なんでもないよ。よーちゃん」

不安げな表情で見詰めてくる陽に、クロは優しい笑みを見せた。



『―…リアス、確かにオレもあんた達と同じで狂ってんだろうね。闇でしか生きられない人種だよ…。けど、俺にはそんな闇なんて簡単に消してくれた太陽がいるんでね?バイバイ、イカレタ芸術家さん』


―…パァン





『俺はもう闇にのまれない』










―薄闇に浮かぶ白の要塞を背に一人佇んでいる男が居た。
炯はただ静かにそこに立っている。


「どうやら終ったみたいだね。」
誰も居ない道に呟いた炯の声は吸い込まれるように消えて行く。
『紅蓮の悪魔と呼ばれた血塗られた男と、深き闇に囚われた憐れな男。
二人がの歩む先は…』
炯は愉快そうに笑みを浮かべる。そして、黒のコートを翻し美術館を背に歩き出した。










…とりあえず、お疲れ様お二人さん。



――――――第一章 エンド

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あきゅろす。
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