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Black Number
狂った世界。狂った僕等。A
「畜生…炯の野郎、こんだけ待たせて来なかったらそこら辺に吊してサンドバック代わりに殴りまくってやる!」
「それは勘弁願いたいな。陽に殴られたら怪我くらいじゃすまなそうだ。」
一息に言葉を吐き捨てた後、背後から降ってきた聞き慣れた声に陽は勢いよく振り返った。そして色々な恨みを込めて睨み付けてやるのだった。
「遅い、炯!約束の時間とっくに過ぎてんだろう。その遅刻癖いい加減直せよ!俺いつかお前のせいで死ぬぞ」
陽は後半から半泣きになりながら炯に訴えた。

…炯(けい)と呼ばれたその男。
長身に女性的な細い身体。それを隠すように黒のコートを羽織り、腰辺りまで伸ばされた漆黒の髪は歩く度にふわりと揺れ艶やかに光る。また、サングラスに隠れた瞳からは感情が伺えず怪しげな雰囲気を纏っている。


「あ〜悪い。悪い。」
「炯…全然謝る気無いだろ。約束昼だったのにもう夕方だってこと分かってんのか?」
「まぁまぁ、少し手間取った事があったんだよ。でも美味しいネタ持ってきてあげたから許せよ。…なぁ?クロさん…」
炯は二人の席の真横まで来ると悲痛に叫ぶ陽を諫めながら静かに珈琲をかき混ぜているクロへ視線を流す。そして、ワントーン低くなった声で笑いかけた。
「………さぁ、それは仕入れた情報によるんじゃない?…勿論ガッカリさせないよね、情報屋。」
漸く顔を上げたクロはゆっくり視線を合わせる。口許には笑みが浮かんでいるが決して瞳は笑って居なかった。




【情報屋】
情報を売ることで生活している者。賞金首の情報は勿論。GCや賞金稼ぎに至るまであらゆる情報を収集し売買する。中には政府の情報を扱っている者もおり、GCに高額で雇われて居ることがある。情報収集を常に行って居る為特定の場所に留まっている事は少ないが、特例も居る。




「相変わらず読めない面だな、クロさん…そんなんだから陽がこんなに怯えちゃってるんじゃない」
「あんたそんなにオレにぶち抜かれたい?」
「おっと…それはサンドバックより勘弁。」

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