18 僕が何も言えなくなったのを取り繕う様に、今まで黙っていたベルが静かに口を開いた 「ユーキ、お前ってどっかの名家の子供なのか?」 「えっ、そうですけど… よく分かりましたね? 僕、何も言ってないのに」 「そりゃ分かるだろ。 まだまだガキな癖に、その言葉遣いでまる分かりだ。 小さい頃から教育されてねぇと、ガキには出来ねー真似だよ」 それは僕も思ってた ユーキってまだ10歳くらいなのに、敬語が板に付いてるからね ベットを薦めたりとかも、ちょっとやそっとじゃ出来ない事だし 子供って自分で一杯一杯だから、誰かを気遣ったり気にかけたりするのはちょっと難しい……と思う それを素直に言うと、ユーキは照れて頬を赤く染めて 「そんな買い被り過ぎですよ。 僕は家の人達がしてるのを見て覚えただけですから」 「でも、それを実行に移す事が出来るユーキは、やっぱりすごいと僕は思うよ」 「あ、ありがとうございます」 はにかんで笑うユーキに、自然と僕も嬉しい気持ちになる ユーキって綺麗に笑う子だなぁ 見てるだけで優しい気持ちになれる そんな感じの笑顔 僕にはちょっと眩しいけど、その光を心地良いとも思う 闇は光を求めてしまうものだから 例え、それで自分自身が消えてしまっても求めずにはいられないから 眩しくて目を眇てユーキを見ていると、次に出て来たセリフに驚きにパチパチと瞬きをした ユーキは内緒話をするみたいにちょっと声を潜め、怖い話の時みたいに顔を恐くした 「カインさん達はヴァンパイアってご存知ですか? 」 「え…? ヴァンパイア? 知ってるよ、だって僕は――――――」 「ゴホッゴホッ!!」 僕の答えを遮る様に、ベルがわざとらしい咳ばらいをしてギロッと睨んで来た ベルの目は余計な事を言うなって物語っていて、僕は仕方なく口を閉じた 言ったって別に大丈夫なのに、ベルは心配性過ぎるよ 恨めしげにベルを見るけど、気付いてるはずなのに僕を完全にスルーして話しを勝手に進める 「それぐらいなら誰だって知ってるんじゃねぇの。 で、そのヴァンパイアがどうかしたのかよ?」 「はい。 ベルさんはヴァンパイアの存在を信じていますか? それとも架空上の…物語だけの存在だと思いますか?」 「あ? ……そりゃ、いや…えー。 信じてるつぅーか、なんつぅーか………」 ユーキの質問に、めちゃくちゃ困った様に口ごもるベル 明確な答えを求めてなかったのか、それとも最初から否定されると思ってたのか ユーキは曖昧な返事をするベルを気にする事なく話しを続ける その顔に悲しみの色を混ぜて [*前へ][次へ#] [戻る] |