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Novel〜他〜



「はい、おりこうさん」

数秒で注射を打ち、先生は再度笑った

「ありがとうございます」

ハナを診察台から下ろしていると先生が話しかけてきた

「ハナちゃん、避妊はしてる?」

「いえ、やっぱりしたほうがいいですか?」

ハナは俺が拾ってきた犬だ

まだ子犬だったのでハナを捨てたヤツが避妊をさせているとも思えない

俺がそう答えると、先生はそうか・・・と何か考え始めた


「避妊手術は飼い主の選択次第だから私からは何も言えないが、そうじゃなくてね


ハナちゃん、ちょっと肥満ぎみかな」

「え、そうなんですか?」

そういえば誰かが避妊手術をするとちょっと太るって言ってたな

でも避妊していないハナの場合、それは当てはまらないわけだから先生の言う通りなのだろう

「どうすればいいんですか」

「ああ、大丈夫だよ
 心配しないで」

先生はにこやかにそういった
感情が顔に出てしまったらしい

俺の家の人間は俺と母親だけだ

父親はハナを拾ってくる少し前に交通事故で死んでしまった

今思えば、あのころ少しでも家の中を明るくしようと俺なりに考えてハナを拾ってきたのではないかと思う

ハナに愛情を注ぐことで母はやっと笑顔を見せるようになった

その愛情がハナの脂肪になってしまったらしい


俺は先生と相談して、ハナのおやつやフードのことを勉強して帰った






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あきゅろす。
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