Novel〜他〜 6☆ ★ 「いやだっ あぁっ、ヤァあーッ!」 先ほどまで、必死に声を抑えていたのが嘘のように、勇者と呼ばれた青年が泣きじゃくり、身を捩る。 その抵抗をあざ笑うかのように、触手は蠢き、本数を増やした。 「ひきィっ ダメぇ!切れるぅう!」 みっちりと咥えこんだそこは、勇者にも見えており、嫌々と首を振りながらつま先が空を切る。 すると、大音量に辟易とした顔の魔王が、触手を止めさせた。 「やめよ」 「はぁっ、はぁっ…う、っ」 拘束も解かれ、檻の中で勇者は自分の体を抱きしめ震える。 「情けないな。尻に突っ込まれただけでその有様とは」 「き、さま…っ」 悔し涙を浮かべる勇者に、魔王は「そうだ」と提案する。 「無理やりされるのが嫌ならば、自分で広げるがいい。 切れるのは嫌なのだろう?」 「な、に…!?」 「ほら、檻の底に生やしてある。それで存分に慣らせ」 冗談ではないと勇者は魔王を睨んだ。しかし涙で潤んだ目に悪の権化が気圧されるはずもなく。 いやなら今度はもっと本数を増やして押しこめるぞという言葉に、青年は唇を噛んだ。 ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |