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Novel〜他〜




俺は、この人が愛おしい

格好いいと評判の獣医の姿も
走っているときの姿も
こんな情けない、いっぱいいっぱいの姿も全部

抱かれて気づくのはちょっと不本意だけど

「先生、責任とってよ」

何を言われても覚悟は出来ている、という顔で先生は俺を見ている

「移転しろなんて思ってないから
 先生まず俺にちゃんと告白してよ」

鳩が豆鉄砲食らったような顔って今の先生みたいな感じなんだろうな

「寅美君・・・?」

「言ってよ
 それとも一回だけの関係が良かったの?そっちのほうが移転してほしいって思う」

「言っても、いいのか?」

先生が椅子から立ち上がってこっちに近づいてくる
そして起き上がろうとする俺に手を貸してくれた

「せんせい」

じっと見つめる
自分よりずっとずっと大人のこの人に負けないように




「愛している」

一言、たった一言言って先生は俺を抱きしめてきた
その腕が緊張のせいか震えているのを感じて、さらにこの人に対する愛しさが募る

「先生、俺先生に名前呼んでもらうの好きです
 これからもいっぱい呼んでよ」

「寅美君、寅美・・・寅美」

ギュウギュウ抱きしめられながら
俺はハナがめぐり合わせてくれたこの人に

自分からキスをした







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