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Novel〜孕〜
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「!!…今の音、」

ナッツが行ってしまった後、やはり村はずれの家で待っていようということになったワサビたちにも、川の轟音は聞こえていました。
ワサビがはっと顔をあげると、デクが唸るように「川の方だ」と言います。

「川って、だって今…」

「ナッツ兄ちゃんが」

弟たちが心配げに両親の顔を見る中、デクはドシドシと足音高く、家を出て行こうとしました。

「デク!待って!」

慌ててワサビがデクの腕にしがみつきます。もちろんこのまま一緒に家を跳び出して、ナッツを探したい気持ちは山々でしたが、ワサビにはしなくてはいけないことがあったのです。

「村の人が、川に行かないように言ってくる。それまではお願いだから…待って…」

話しながら、ナッツが心配で涙声のワサビですが、魔物であるデクやその子どもたちのことを村の人たちに知らせていない以上、どうしてもしなくてはいけないことでした。

デクもぐっと眉をよせて、自分を抑えているようです。

「…近くまで行く。すぐ知らせてくれ」

「うん!村の方から僕は川に降りるから!」

バタバタと支度するなか、じっとワサビとデクの会話を聞いていた子供たちが手をあげました。

「僕も行く!」

「僕も!」

「駄目だ!危ないんだから」

デクも大きく頷きます。しかし子供たちは諦めませんでした。

「でもとうちゃんは、ナッツにいちゃんのお気に入りの場所、知らないもん」

「僕ら知ってるから、教えられる」

お兄さんのダミアとモンドも双子の手を握って、お願いします。

「双子は僕らがちゃんと連れて行くから!」

「危ないところには行かせないようにするよ!」

ワサビは困った顔をして、デクを見上げました。






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