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Novel〜孕〜





「あんだぁ急に」

先ほどまで、恐怖で満足に声も出なかった子狐が誰かを呼び始めたので、はぐれ狐は少しイラついたようだ。
自分のものとは同じとは思えないほど、毛艶がよく形のいい尻尾を、力任せに握りしめる。

「きゃぁあんッ
いたい!痛い!!」

「やめてほしかったら謝んなぁ」

急に叫んでごめんなさいってなぁ、と続けるはずだったはぐれ狐の口は、それ以上動かなくなった。一陣の風と共に、突然目の前に大きな狐が現れたからだ。

現れた狐、ロコは、己の刀をはぐれ狐の汚い口の寸前で止めていた。

「謝るのは…、お前のほうだ…」

視線だけで射殺しそうな、表情はないのに怖い。はぐれ狐は今にも歯にあたりそうな刀のせいで口を閉じることも出来ないまま、抱えていた子狐を手放した。


テタと呼ばれた子狐が、大きな狐の影に隠れた瞬間、はぐれ狐の命は終わった。





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あきゅろす。
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