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Novel〜孕〜






「父上。失礼致します」

夜、ロウはガインの執務室にきていた。夜だからか、普段は一緒に仕事をしているグルはもういない。
ガインは頷いて、ロウを座らせた。

「今から、花嫁について説明する」

「はなよめ?」

聞き慣れない言葉にロウが耳をピンと立てると、ガインは歴代の王が王子に教えてきたように、獣王の花嫁になる資格について話し始めた。

「隙間…、もし、どんなに愛し合っていても、相手が隙間を持っていなければ、結婚はできないということですか?」

「…そうなるな。
しかし、隙間を持つ者とは、自然と惹かれあう運命らしい」

俺とクエナがそうだったように、とガインは続けたのだが、すでにロウの頭の中には入ってきていなかった。

自然と惹かれあう運命、そう言われて思い浮かぶ人物など一人しかいない。

「どうすれば、隙間を確認できますか?」

前のめりに尋ねてくるロウに、ガインは説明をした。隙間を持つ者の独特の甘い匂いについて。
確認のしかたにロウは一瞬戸惑う顔をしたが、挑むようにじっとガインを見つめ、父親の話に頷く。

「花嫁探しは、好きな時期に行うといい。ただ、相手を傷つけぬよう気を付けろ」

「はい。父上」





卒業式の翌日、ハクは息を切らせて学校から帰ってきたものの、本当にロウを訪ねていいものかとまごまごしていると、ひょっこりとロウが顔を出した。

「ロウ…!た、ただいま」

ロウは昨日の話を思い出し、ハクをじっと見つめる。ハクが首を傾げるのを見てはっとし、手招いて自分の部屋に誘った。

「どうしたの?お勉強で疲れた?」

「い、いや、そうじゃない」

ガインと話をして心に浮かんだ人物、それは今、目の前にいるハク以外に考えられなかった。
ロウには兄弟がいないから、弟のように感じているのかもと考えてみたが、それならヨクにも同じくらいの感情を持つはず。

しかしハクとヨクでは、どうも違うとロウは考えていた。ハクが笑えば、心が温まり、泣けばきゅんと切なくなる。しかし最近はハクが泣いている姿に、何か胸の奥に熱いものが芽生えつつあるのも感じていた。

「ハク…。協力してほしいことがある」

「僕に?うん、何をすればいいの?」

頼られたことが嬉しいのか、ハクはぱっと笑顔になって、内容も聞かずに頷く。
ロウは更に部屋の奥の寝室にハクを連れていった。

「確認したいことがあるんだ。ハク、服を脱いでくれないか?」






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