Novel〜孕〜 8 ★ 「父上。失礼致します」 夜、ロウはガインの執務室にきていた。夜だからか、普段は一緒に仕事をしているグルはもういない。 ガインは頷いて、ロウを座らせた。 「今から、花嫁について説明する」 「はなよめ?」 聞き慣れない言葉にロウが耳をピンと立てると、ガインは歴代の王が王子に教えてきたように、獣王の花嫁になる資格について話し始めた。 「隙間…、もし、どんなに愛し合っていても、相手が隙間を持っていなければ、結婚はできないということですか?」 「…そうなるな。 しかし、隙間を持つ者とは、自然と惹かれあう運命らしい」 俺とクエナがそうだったように、とガインは続けたのだが、すでにロウの頭の中には入ってきていなかった。 自然と惹かれあう運命、そう言われて思い浮かぶ人物など一人しかいない。 「どうすれば、隙間を確認できますか?」 前のめりに尋ねてくるロウに、ガインは説明をした。隙間を持つ者の独特の甘い匂いについて。 確認のしかたにロウは一瞬戸惑う顔をしたが、挑むようにじっとガインを見つめ、父親の話に頷く。 「花嫁探しは、好きな時期に行うといい。ただ、相手を傷つけぬよう気を付けろ」 「はい。父上」 卒業式の翌日、ハクは息を切らせて学校から帰ってきたものの、本当にロウを訪ねていいものかとまごまごしていると、ひょっこりとロウが顔を出した。 「ロウ…!た、ただいま」 ロウは昨日の話を思い出し、ハクをじっと見つめる。ハクが首を傾げるのを見てはっとし、手招いて自分の部屋に誘った。 「どうしたの?お勉強で疲れた?」 「い、いや、そうじゃない」 ガインと話をして心に浮かんだ人物、それは今、目の前にいるハク以外に考えられなかった。 ロウには兄弟がいないから、弟のように感じているのかもと考えてみたが、それならヨクにも同じくらいの感情を持つはず。 しかしハクとヨクでは、どうも違うとロウは考えていた。ハクが笑えば、心が温まり、泣けばきゅんと切なくなる。しかし最近はハクが泣いている姿に、何か胸の奥に熱いものが芽生えつつあるのも感じていた。 「ハク…。協力してほしいことがある」 「僕に?うん、何をすればいいの?」 頼られたことが嬉しいのか、ハクはぱっと笑顔になって、内容も聞かずに頷く。 ロウは更に部屋の奥の寝室にハクを連れていった。 「確認したいことがあるんだ。ハク、服を脱いでくれないか?」 ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |