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Novel〜孕〜





うちの子、と言われ、思わずユウという男のそばでアレクを見ている少年を見る。
しかし流石にそれはないだろうと、ユウの視線を追って横になったまま、窓の外を見た。

「う…っ」

途端にビリっと肌が痛む。怪我も痛いが、これは窓の外から送られる視線の強さのせいらしかった。
外には、川でアレクを襲ってきた白い犬がうろうろとこちらを伺いながら歩いていたのだ。
無意識に左腕を庇う。

しばらく犬は嫌いになりそうだと、内心思っているアレクをよそに、ユウは窓を開け放った。

「ウンザ!」

犬が、軽い足取りで歩き出し、こちらに向かってくる。
逃げ出したいが、怪我は思ったよりも酷いらしく、起き上がることができない。
そうしている間に、犬はのしっと窓に前足をかけてこちらを覗きこんできた。

「起きたか」

「!!?」

聞こえてきたユウの声でも、子供の声でもない男の低い声に、アレクはぎょっとして首を必死に起こし、犬を見る。
白い犬はニヤっと笑った。

「話す魔物は初めてか?侵入者」

「ウンザ。侵入者はないだろ?怪我させておいて」

すかざずユウが呆れたように言うが、アレクは今起こったことが信じられなかった。


そもそも魔物を見たことすら今日が初めてだったのだ。
それがさらに、人語を話し、しかも人と暮らしているなんて。

ぐるぐると天井が回る。ユウが何か話しかけてきたが、理解する間もなく。アレクの意識は闇に落ちていった。





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