Novel〜孕〜 2 ★ アレクは体力が第一と言われる冒険者でありながら、魔法も使うことができた。 魔王が死んで平和になった世の中では、生活に役立つような魔法しか伝承されておらず、攻撃系や回復系などが使える若い魔法使いは珍しい。 そんな中、彼は旅先で魔法使いがいると聞いてはいろいろな魔法を教えてもらい、それを確実に身につけてきたのだ。 その、魔法に敏感な彼が、森に入った時、何かを感じ取った。 確信は持てないが、見えない壁を通ってしまったような。 ―この森には何かがいる。 見えない壁を、アレクは結界だと判断した。 ならば、この森に結界を張る理由を、冒険者として調べないわけにはいかないだろう。 そして森を歩きながら、もしかしてここはあの有名な「東の森」なのではないかと思ったのだ。 東の森、と言っても、誰もその正確な場所を知る者はいない。 どこを起点として「東」というのか、不明だったからだ。 多くの説では魔王のいた城から東だと考えられていたが、この森はどちらかというと南より。 麓の村でも、そのようなことを言っている者はいなかった。アレクも森を歩きながら思いついたほどだ。 そもそも本当に魔王の宝があるのか。それすらもわからない。 しかしアレクの足は、森を分け入り、どんどん奥へ彼を運んでいった。 ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |