Novel〜孕〜 −11 ★ 「…」 ぽっかりと目をあけて、カイはまず隣に眠るハルを見た。 疲れた顔をしている。カイを心配して、あまりよく眠れていないのだろう。 次に、天井を見て、自分の体の様子を探ってみた。 熱は、どうやら下がったらしい。 体がとても軽くて、そして久しぶりに空腹を感じた。 「ん、…カイ?」 起きたのかと目を擦るハルに、カイは甘えるように擦り寄る。 「おはよう、ハルさん」 ほんわりと笑うカイに、ハルも嬉しそうに手を伸ばして抱き寄せてくる。 ベッドの中で暖かい抱擁に包まれて、カイはそっと目を閉じた。 ―幸せになるからね 出会ったたくさんの誰かに宣言するように心の中で唱える。 新しい朝が始まるまで、もう少し。 〜END〜 ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |